大:相手にイラッとしているところを見せないコツはありますか?

田:感情をコントロールできないと思われたら、相手の術中にはまるようなものと思いましょう。耐えすぎて病気になってもいけませんが、相手には絶対いらだちを見せないこと。これはケースバイケースなので、怒った方がいいケースもあるかもしれませんが、私の場合はそうではありません。自分の感情がスカッとすることが一番怖いですね。そういうときは、自分の気質からいってよくないことが起こっています。

大:コミュニケーションでスカッとしたときほど注意、ということですか?

田:言いすぎたり、言わなくていいことを言ったりした可能性があります。モヤモヤするけれど、それを受け止めて表に出さない。これは難しいけれど、徐々にできるようになります。そして「感情が乱れない」「一定である」ということで、一目置かれるようにもなるんです。

――本を書いたことによる、田村さん自身の気づきはありましたか?

田:数字、実績を出すことに集中するのが一番いいということですね。周りの目よりも実績を出すことに集中すればいい。どの仕事にも運不運があるので、もちろん実績が出ないこともあると思いますが、周りのことを気にしすぎるよりも、自分の目標に向かっていく方が楽です。本当はそういう本だと思うんですよね。逃げるんじゃなくて、目的に向かっていってほしい。

大:この本の最大のメッセージはそこですよね。

田:よく読んでいない人からは、「逃げてばっかりじゃダメでしょ」って言われるんですけど(笑)。でもそういう意味ではない。逃げることも大事だけど、逃げるだけではない。

―大坂さんが、本の中で特に印象的だったフレーズはありますか?

大:今でも意識しているのは、「生意気は元気な証だなんて思うな」。上の人に意見するのって気持ちいいんですよ。こんなに主張できる私スゴイって。でも、実際は、上の人がグッと我慢してくれていたんだなあと。それからは、無駄に恨まれないように気をつけています。

田:今の日本は、少数の若い人が引っ張っていかなきゃいけないので、本当は意見をぶつけるべきでありますが……ただ経験上、そうすると色んな目にあうと思います。「若者は元気だなあ」なんて言いながらドロドロしている大人が、日本にはいっぱいいますから。

大:日本のアホもいるけど、世界のアホはもっとすごい?

田:すごいですね。今となっては、永田町での経験がありがたい。嫉妬による攻撃を受けたとき、感情的になるといろんな人に迷惑がかかります。組織全体もよくない方向になる。誰かが大人になるしかないんです。

海外の人は、ふだんは自分の数字を出すことに一生懸命。日本の人は、必要以上に他人に関心がある人が多いですよね。もう少し、自分のことを頑張った方がいいんじゃないでしょうか。

(構成/松田明子)