田村耕太郎(たむら・こうたろう)/米エール大院修了。元参議院議員(2期)。シンガポール在住。右は担当編集の大坂温子。『頭に来てもアホとは戦うな!』は70万部を突破し、日テレで4月からドラマに。ほか『天才はあきらめた』13万部、『論破力』4.5万部などを担当
田村耕太郎(たむら・こうたろう)/米エール大院修了。元参議院議員(2期)。シンガポール在住。右は担当編集の大坂温子。『頭に来てもアホとは戦うな!』は70万部を突破し、日テレで4月からドラマに。ほか『天才はあきらめた』13万部、『論破力』4.5万部などを担当
紀伊國屋書店新宿本店にて『アホドラマ化記念フェア』開催中(2019年2月現在)。編集・大坂温子が担当した書を『アホ』中心に展開している
紀伊國屋書店新宿本店にて『アホドラマ化記念フェア』開催中(2019年2月現在)。編集・大坂温子が担当した書を『アホ』中心に展開している

 著書である『頭に来てもアホとは戦うな!』(朝日新聞出版)が、5年におよぶロングセラーを記録中の田村耕太郎さん。現在、著書は70万部を突破。担当編集者の大坂温子が田村さんに、出版当時の心境や現在のヒットについて何を思うか、また現在の拠点であるシンガポールの「アホ」について…… など、幅広く聞きました。

【ドラマ化を記念して、紀伊國屋書店新宿本店で行われてたフェアの様子はこちら】

*  *  *

――ツイッターでの田村さんのつぶやきが出版のきっかけだった。

田村(以下「田」):当時、ドラマの影響で「倍返し」という言葉が流行っていました。でも僕自身、「倍返し」したら「倍々返し」をされるという悲惨な経験をしまして。「これはいけない」と、思わず世の中に向かって「頭に来てもアホとは戦うな!」というツイートを投げかけました。ドラマは倍返しがうまくいくという筋立てで気持ちがいい。でもそういうことは現実には起こらないんですよね。

大坂(以下「大」):その言葉にピンと来たことを、今でも鮮明に覚えています。田村さんにご連絡したところ、すぐに「やりましょう」と言ってくださいました。

田:当時はシンガポールに拠点を移す直前で、もう最後の本になるだろうという気持ちもありました。3~4カ月で、すごく集中して書いた記憶がありますね。

――初版8000部、1年間で4万5000部発行というすべり出し。しかしその3年後、加速的に売り上げが伸び、2018年だけで50万部弱を増刷することに……。

田:関西の書店さんがフェアを続けてくださったということですが、そういうことが本当にあるんですか?

大:私もそういうのは都市伝説だと思っていたんですけど(笑)。今回がまさにそうで、ある書店さんが数年のあいだお薦めしてくださり、全国のブームに火がついたんです。

――サブタイトルには、「人間関係を思い通りにし、最高のパフォーマンスを実現する方法」とあります。

大:その方法のひとつとして、「腹立たしいメールをもらった時は、速攻で怒りのメールを書き、しかしそれを冷静に保存しておく」というテクニックがあります。あとは、お風呂で怒りの言葉を徹底的に口に出すということ。爆発させないとたまっちゃうから、どこかで発散させたほうがいいということでした。それは今もやっていますか?

田:やっていますが、夜、怒りを書き溜めて、それを朝見ると恥ずかしいですね。本で言ってる割に自分も小さいなって。今は小さい子どももいるのでお風呂では叫びませんが、外に散歩に行って頭を冷やしたりはしています。でも、昔より相当忍耐力がつきましたね。イラッとしたら負け。じっくり考えて対処しようとしています。

大:イラッともしないんですか?

田:イラッとしているけど、しているようには絶対見せません。いらだちを見せたら、相手の勝ちです。

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イラッとしているところを見せないコツは?