パートナーの話をちゃんと聞いていたのに、急に「ねえ!聞いてるの?」と怒られた。仕事で顧客からの要望を真剣に聞いていたのに、「おい、話を聞け!」と怒鳴られた。こんな経験はありませんか。
それは、実はあなたが無意識に「聞いていません」というメッセージを送り続けているからかもしれません。そう指摘するのは、『1分で信頼を引き寄せる「魔法の聞き方」』の著者、渡辺直樹氏です。渡辺氏は、大手通信会社のコールセンター業務に20年携わる傍ら、臨床心理学や心理カウンセリングを学び、傾聴のボランティアなども行う、いわば「聞くこと」のプロフェッショナル。日常的に頻発する「聞いている、聞いていない」問題のすれ違いについて、話を聞きました。
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人はみな無自覚に「聞いていません」というメッセージを送り続けています。
「まさか、自分はそんなことしていない!」と思われるでしょうか?
しかし、私たちは、コミュニケーションをするときに、常に言葉以外の要素でも相手に多くの情報を伝えています。アイコンタクトや表情、姿勢、声の大きさなどは、ときに言葉よりもはるかに強力な伝達手段になります。
アメリカの心理学者アルバート・メラビアン氏の調査によれば、会話において相手の言語表現と非言語表現が矛盾している場面では、93%の人が非言語表現の方を重視するとされています。
例えば、相手が「やめてください」と口で言いながら、一方で顔が笑っている場合、受け手は笑顔の方を重視して「拒否されていない」と判断する傾向があるということです。
つまり、態度の如何によっては、知らず知らずのうちに、相手に「聞いていない」というメッセージを発してしまうことがありえるのです。
臨床心理学者の平木典子さんの整理によれば、例えば、次のような態度です。
・視線を相手に向けない
・腕を組んだり、横を向いたり、ふんぞり返った姿勢をとる
・下を向いたり、本や手帳を開いたりする
・ほかのことを考えているような顔つき、なま返事をする
・相手の話を途中で遮る、自分の話をはじめる
もしあなたが上司だとして、部下が相談に来たとき、パソコンの画面から目を離さずにキーボードを叩きながら、なま返事をしていませんか。
また、パートナーに話しかけられたとき、何か作業をしながら返事をすることがないでしょうか。グチを聞かされそうになったときに、話を先取りして自分の考える解決の提案をしていませんか。