「主催者が決めるはずの入場料まで、徳島市が事前に指定。こんな上から目線の要項で縛られては、黒字は出せないのでは? それに阿波踊りが黒字になるには、総踊りができるか、どうかが一番肝心です。要項には言外に総踊りは開催されるようなニュアンスはありますが、まだ確定には至っていない。昨年も一番、盛り上ったのは、阿波踊り振興協会によって強行された総踊りのときでした」

 昨年の阿波踊りの赤字額は2900万円と公表されたが、徳島市の議会関係者はこう指摘する。

「阿波踊りの運営には多くの市職員が動員されているが、人件費はカウントされていない。徳島新聞も売れ残った入場券などで赤字をかぶったとの話もある。おそらく赤字は1億円近いのではないか。最大の目玉、総踊り中止を決め、混乱を招いた遠藤彰良市長の責任は大きい」

 山田理事長は今夏の総踊り開催についてこう語る。

「総踊りをしてほしいと要請は来ている。しかし、承諾していません。条件が整えばやりますと返事しています。昨年、徳島市の遠藤市長は『総踊りは阿波踊りじゃない。ギュウギュウ詰めで両手あげているだけ』と冒とくした。その謝罪もないのに、総踊りをしてほしいと求めている。ええ加減にしろって」

 25日に徳島市中央公民館で事業者向け説明会を開いた後、26日から3月20日まで応募を市役所で受け付けた後、審査を経て、3月末に開かれる実行委で受託事業者を決定する。

 今夏も総踊りを巡って、バトルが展開されるのか?(今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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