一方で、3歳から10代にかけては、教育番組を見ていると男の子は高校の成績がよくなるという研究もあります。良い内容のコンテンツであれば、2、3歳以降にテレビやタブレットを利用するのは良い影響があるかもしれません。

■テレビのつけっぱなしは…

 それでは、テレビやタブレットを見せるのではなく、リビングでつけっぱなしにしているのは、子どもにどんな影響があるのでしょうか?

 マサチューセッツ大学の研究者たちは、2008年に、テレビを流しっぱなしにすることの影響を調べています。12カ月の子17人、24カ月の子16人、36カ月の子17人を集め、1時間おもちゃで遊んでもらいました。そのうち30分は、お部屋のテレビをつけておき、残り30分は消しておきました。すると、子どもたちがテレビを見るのは6分間に2~10回程度、テレビを3秒以上見ていたのはそのうち30%で、ずっとテレビを見ているわけではありませんでした。

 また、テレビを付けた状態だと、おもちゃで遊ぶ時間は5%減少し、集中して遊ぶ時間も減少していたことがわかりましたが、おもちゃを別のものにみたてたり、おままごとのようなロールプレイを含んだりするような複雑な遊びの時間は、テレビがついているかどうかではっきりした差がありませんでした。

 つまり、テレビがついていると、やはりわずかに気を散らしてしまうという影響はありますが、本当に集中しておもちゃで遊ぶような時間は、あまり変わらないという結果でした。

■すべて“ダメ”ではない。直接体験とともに

 赤ちゃんや2歳頃までの子どもは、教育番組から何かを学ぶのは難しいかもしれません。しかしテレビやタブレットを見せることがとても悪いということではなく、人との関わりや直接体験することを通して、学ぶ時間が確保されているかどうかが大切です。

 テレビやタブレット、スマートフォンは、それ自体が良いもの、悪いものというものではなく、一つの道具です。2020年からは小学校のプログラミング教育が必修化され、ICT教育も普及が進む流れにあります。子どもの年齢に合わせて、良い使い方を考えていく必要がありそうです。

◯森田麻里子(もりた・まりこ)
1987年生まれ。東京都出身。医師。2012年東京大学医学部医学科卒業。12年亀田総合病院にて初期研修を経て14年仙台厚生病院麻酔科。16年南相馬市立総合病院麻酔科に勤務。17年3月に第一子を出産。小児睡眠コンサルタント。Child Health Laboratory代表

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森田麻里子

森田麻里子

森田麻里子(もりた・まりこ)/1987年生まれ。東京都出身。医師。2012年東京大学医学部医学科卒業。12年亀田総合病院にて初期研修を経て14年仙台厚生病院麻酔科。16年南相馬市立総合病院麻酔科に勤務。17年3月に第一子を出産し、19年9月より昭和大学病院附属東病院睡眠医療センターにて非常勤勤務。小児睡眠コンサルタント。Child Health Laboratory代表

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