復帰のメドが立たない松坂大輔 (c)朝日新聞社
復帰のメドが立たない松坂大輔 (c)朝日新聞社

右腓腹筋の肉離れで2軍スタートに変更となった根尾昂 (c)朝日新聞社
右腓腹筋の肉離れで2軍スタートに変更となった根尾昂 (c)朝日新聞社

 中日の松坂大輔が右肩違和感で14日からチームの練習を離脱した。キャンプ中にファンに右手を引っ張られた際に違和感を訴え、沖縄の病院で「右肩の炎症」と診断を受けた。キャッチボールのメドが立たず、長期離脱の可能性もある。現時点では開幕に間に合わないという見方が現実的だ。ソフトバンクを退団して、中日に移籍した昨季は日本球界で12年ぶりの白星をマークするなど6勝を挙げてカムバック賞を受賞。右肩痛から復活した姿に野球ファンは心を突き動かされた。

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 松坂がナゴヤドームで先発登板する試合は注目度も大きい。昨年は「松坂が投げる試合は生で見たい」と観客が3万5000人を超える満員御礼になったことも。ホームの平均観客動員数が17年の27927人から18年はセ・リーグトップとなる8.3%増と大幅に増えたのは「松坂効果」に拠るところが大きかった。それだけにファンとの接触という思いがけない事態で、復帰のメドが立たないのは営業面でも大打撃だ。中日の球団関係者は「松坂投手が勝つと全国のニュースでも取り上げられるし、盛り上がりが全然違う。昨年の活躍で中日ファンのハートもがっちりつかんだ。もちろん1日でも早く復調してナゴヤドームで元気な姿を見たいですよ」と願いを口にする。

 注目度では松坂に引けを取らない黄金ルーキー・根尾昂も開幕1軍は微妙な状況だ。1軍キャンプスタートが内定していたが、1月の自主トレ中に右腓腹筋の肉離れで2軍スタートに変更に。患部は回復して完全復調は近いが、遊撃の定位置を争う京田陽太が軽快な動きで順調な仕上がりぶりをアピールしているだけに出遅れている感は否めない。根尾は間違いなく将来の中日を背負って立つ逸材だが、2、3月の実戦でアピールできなければ開幕1軍スタートは厳しくなる。京田の控えでベンチに据えるなら、2軍で実戦を積んだ方が攻守で成長につながる。根尾の勇姿を1軍で見たいファンはたくさんいるが、チームも競争原理で勝ちに徹さなければいけない。

 春季キャンプでは根尾と松坂が共に1軍のキャンプからいない状況になり、報道陣の数が減った。松坂と根尾の待望論が周囲で渦巻くが、チームが勝てばマスコミに取り上げられる機会が増えてファンも足を運ぶ。他の選手はこの状況を発奮材料にしなければいけないだろう。(中町剛憲)