■名古屋 A

 攻撃の中心であるガブリエル・シャビエルをとどめたことがフロントの最大の功績だろう。またレンタルバックの懸念もあった万能タイプの宮原和也(←広島)を完全移籍で獲得できたことも見逃せない。加えて鋭い仕掛けが持ち味のマテウス(←大宮)の補強、昨年は特別強化指定選手として残留に大きく貢献した相馬勇紀(←早稲田大)の本格参戦も大きい。

 多くのJリーグファンを驚かせたのが米本拓司(←FC東京)の加入だ。日本屈指のボール奪取力を備える米本だが、ボールを扱う技術も確かなものがある。風間監督のもとで一皮むければ躍進のキーマンにもなりうる存在だ。U-20代表の大型MF伊藤洋輝(←磐田)もポテンシャルは世代屈指の呼び声が高く、ブレイクが期待される。

 新外国人のジョアン・シミッチ(←リオ・アヴェ)はポルトガルで高水準の組み立て能力を見せており、風間サッカーにいきなりフィットする資質は十分。米本とシミッチの新加入コンビが開幕戦でボランチに並び立つ可能性もある。左サイドバックの吉田豊(←鳥栖)は名古屋にやや不足していたサイドの活動量に加え、ムードメーカーとしても良い効果をもたらしそうだ。(文・河治良幸)

●プロフィール
河治良幸
サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書は『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)、『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)など。Jリーグから欧州リーグ、代表戦まで、プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHKスペシャル『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の"天才能"」に監修として参加。8月21日に『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)を刊行。