今の時期、そろそろ本格化する花粉症の薬を希望して受診にきた方からは、病院を受診して薬を処方してもらうだけなのに、「(病院で)インフルエンザに感染してしまいそうだわ」と心配する声が多々あります。高血圧の薬をずっと内服している方で、勤務が忙しくて受診がなかなかできず、ようやく受診できるまで長い時には1カ月も内服しない状態が続いてしまうことが頻繁にある、という方もたまに見かけます。

■細かなルールが普及の足かせに

 もちろん、病院に受診していただくことで、体調不良を医療者側が察知できることもあります。画面越しではない対面診察を希望される方もたくさんいます。けれども、病状が安定していたり、花粉症のような毎年同じ症状で同じ薬を希望したりするケースは、オンライン診療であれば負担になることはなく、服薬も中断なく継続でき、患者さんのためになるケースも多々あるのではないかと、日々感じる次第です。

 さらに、最初の診察は対面による診察が義務であること、同じ医師が半年以上診察し、3カ月に1回は対面診療を組み合わせる必要があること、さらには、原則として30分以内に通院できる患者に限られていることなど、細かなルールが決められていることも、要因の一つでしょう。定期的に診療することで得られる管理料が、対面診療と比較して低く設定されていることが、医療機関が積極的に導入することを鈍らせている最たる原因なのかもしれません。

 注目すべきは、「医薬品の投与を速やかに行わなければ患者の生命・身体に危険が及ぶ可能性が高く、対面での診療を待つことが望ましくない場合には、医師の判断の下、オンライン診療に基づき医薬品を処方することが許容され得る。」という文言です。

■緊急避妊薬がオンライン処方の俎上に?

 そもそも、緊急避妊薬とは、避妊に失敗したときに、妊娠を回避するために緊急的に女性が内服する薬のこと。性交渉の際にコンドームが破れた、または穴が空いてしまった、コンドームが性交渉の途中で外れてしまった、そもそも避妊をしていなかった、といった理由で、妊娠を望まないときに、緊急的な手段として性交渉の翌朝に服用されることが多いことから「アフターピル」とも呼ばれています。

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緊急避妊薬のオンライン処方も?