広島の長野久義 (c)朝日新聞社
広島の長野久義 (c)朝日新聞社

走塁練習中の巨人・丸 (c)朝日新聞社
走塁練習中の巨人・丸 (c)朝日新聞社

 広島のテレビ関係者がキャンプ地で新加入した長野久義への感謝を口にしていた。「広島に人的補償で入団が決まった時、実は不安だったです。巨人に入団した経緯もあるし広島に来ることを最悪拒否するんじゃないかって…。でも全然違いました。入団会見から満面の笑みで広島に入る喜びを口にしてくれたし、キャンプでもチームに溶け込もうと他の選手たちに積極的に話しかけている。報道陣の名前も一人一人覚えようとしてくれるし、噂には聞いていましたが本当の人格者ですよね。広島に来てくれて本当にありがとうという気持ちです」。

【写真】大黒柱の丸佳浩が抜けてもフィーバー

 広島はリーグ3連覇中とセ・リーグでは絶対的な強さを誇る。しかし、例年の春季キャンプで全国放送の露出は優先順位が高いわけではなかった。昨オフに大型補強した巨人、ドラフト1位のゴールデンルーキー・根尾昂が加入した中日に比べて、大黒柱の丸佳浩が抜けた広島はメディアの注目が低くなるのではないかと球団関係者も懸念していた。だが、1月7日に長野が丸の人的補償で電撃移籍が決まると一気に風向きが変わった。23日の入団会見では冒頭のあいさつで「噛んだんでもう一回いいですか?」とまさかのテイク2を要求。笑いに包まれた温かい会見で、報道陣とファンの心を一気につかんだ。2月1日のキャンプインでは報道陣100人、テレビカメラ20台が集まった。長野の一挙手一投足が新聞、テレビで連日報じられる盛り上がりぶりで丸が退団したショックは完全に消え去った。

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長野がもたらすプラスアルファ