古賀茂明「統計不正で大馬鹿でも極悪人でもない厚労官僚たちがはまった罠」 (4/5) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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古賀茂明「統計不正で大馬鹿でも極悪人でもない厚労官僚たちがはまった罠」

連載「政官財の罪と罰」

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衆院予算委で質問を聞く根本匠厚労相(C)朝日新聞社

衆院予算委で質問を聞く根本匠厚労相(C)朝日新聞社

著者:古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。最新刊『日本中枢の狂謀』(講談社)、『国家の共謀』(角川新書)。「シナプス 古賀茂明サロン」主催

著者:古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。最新刊『日本中枢の狂謀』(講談社)、『国家の共謀』(角川新書)。「シナプス 古賀茂明サロン」主催

 ■「弱い人」が「大きな権力」を持つ怖さ

 官僚が必ずしも悪人ではなく、強い人でもないから大きな問題が出ないかというと、そうではない。「弱い人」が役所にはびこると、どうなるのか。

 役所の場合は、その権力が大きく、予算も社会への影響力も桁外れて大きい。だからこそ、本来は、倫理観のしっかりした人間が官僚になってもらわなければ困るのだが、そうはなっていないし、入省してからそういう人間に教育されるというシステムにもなっていない。

 結果的に、普通の「弱い人」たちが集まって、保身や利権擁護に走ることで、とんでもないことが起きる。被害は、その組織にとどまらず、広く国民の損害につながるのである。

 今回の不祥事では、遅くとも03年に翌04年からの不正調査の計画が作られたとされている(ただし、私は、03年以前から大規模事業所の全数調査は行われていなかったと見ている)。そのときの担当官僚は何を考えたのか。非常に興味があるが、詳しいヒアリングは行われていない。しかし、少なくとも言えることは、これは単独でできることではない。

 一定の手続きを踏んで、少なくとも課長クラスは知ったうえでの判断だったと考えられる。いろいろな議論があったはずだが、結局誰もそれを止めることはできなかった。

 実は、役人が中途半端に「優秀」だから傷が深くなるという面もある。なまじ頭が働くために、複雑な理屈(客観的にはタダの屁理屈)で、自分たちの行為を正当化したり、何とか隠し通すための悪知恵を働かせたりできるのだ。頭が働かなければ、簡単に諦められたのに、ということになる。

■「弱い」から、さらなる深みにはまる

 今回の不祥事では04年から17年の間に何回も不正を正す機会があったはずだ。おそらく毎年のようにこれは問題だという話が担当官レベルでは出ていたのではないだろうか。しかし、「弱い人」の集団では、前例を破って、自分たちの代から正しい道を選ぶという勇気ある決断はできない。官僚の任期、特にキャリア官僚の任期は1年か2年というのが普通だ。その期間だけ何とか無難に過ごせばよいという意識もその判断を後押しする。その結果、10年以上にわたって不正を継続することになったのだ。

 さらに、17年に、18年からの補正(復元)を始めると決めたときも過ちを正す大きなチャンスだったが、それも逸してしまった。


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