この手堅い「松坂人気」に加え、昨秋のドラフト甲子園のスター、大阪桐蔭・根尾昂を獲得。これでファンの期待と関心がさらに高まることを予測した球団側は、今年の北谷キャンプへ向け、昨年暮れから綿密な準備を行ってきた。

 まず1月に球団の営業部門を改編。グッズ販売などを担当する企画営業部から、イベント運営に特化したイベント推進部を新設。チケット部と合わせての3部門となった。よりきめ細かいファンサービスを行うための態勢づくりだ。

 そこには、昨年の“反省”があった。キャンプイン直前の1月23日に松坂入団が決まり、グッズが十分に準備できなかった中で、キャンプ第1クールの5日間で、一昨年の1カ月分にあたる「1000万円」の売り上げがあったのだ。

 スターの存在は、ファンを呼ぶ。今年は松坂だけでなく、根尾というフレッシュなスター候補も加わる。中日の場合、かつてはルーキーのグッズは基本的に作らないという不文律があった。これを覆したのが、東海大相模で夏の甲子園優勝投手となり、2015年のドラフト1位で入団した小笠原慎之介だったが、根尾はその左腕を上回る、超ビッグルーキーともいえる存在でもある。

「根尾君は日本中が認める選手。むしろグッズがない方がおかしいですよね」と北野さん。そこで根尾のケースも、小笠原に続いて、高卒ルーキーながらグッズ解禁を決定。白のホーム用、ブルーのビジター用と2種類のレプリカユニホーム、マフラータオル、ペンケース、キーホルダーなど、松坂と遜色ない種類のグッズを準備した。

 さらに、北谷キャンプでのグッズ売り場はこれまで、球場正面脇のテント1張分のスペースだったが、これをテント4張分に拡大。また、北野さんが昨年末にかけ、北谷を複数回にわたって現地視察。ファンの混乱を避けるため、運動公園の入り口から球場正面までの通路沿いに売り場を変更することを決めた。ガードマンも、昨年までの200人から倍の400人に増やして警備を強化。こうした“ファンサービス拡大案”を、北谷町側とも綿密に打ち合わせた。

 その予測通り、いや、それ以上の光景が、北谷キャンプ初日から展開された。

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松坂の背番号「18」も売り上げに拍車