阪神・藤浪晋太郎 (c)朝日新聞社
阪神・藤浪晋太郎 (c)朝日新聞社

 球春到来を告げた中、復活を期する一人が、阪神の若きエース“だった”藤浪晋太郎である。大阪桐蔭を甲子園春夏連覇に導き、2012年のドラフト会議で4球団競合の末に阪神入りした豪腕。高卒1年目から3年連続で2ケタ勝利を達成したが、金本知憲監督就任中の3年間は不振が続き、制球難ばかりがクローズアップされた。指揮官が矢野燿大に代わった今季、果たして完全復活できるのだろうか。

 過去を振り返っても、監督の存在が選手の成績に大きく影響することは多々あった。代表的なものが、野村克也監督による「野村再生工場」だろう。ヤクルトの監督時に、プロ2勝のみだった田畑一也を2年連続2ケタ勝利のエースに変貌させ、広島を戦力外となった小早川毅彦を“伝説の開幕3連発”に導き、阪神監督時には遠山奬志を左の中継ぎエースとして復活させた。そして、山崎武司。首脳陣との確執も伝えられた中で成績が下降し、中日からトレードでオリックスへ、オリックスを戦力外となって楽天入りすると、野村監督の教えの下で持ち前の長打力が完全復活。2007年には自己最多となる43本塁打&108打点の大活躍を見せた。

 日米で実績を残した田口壮も監督交代が転機となった一人だ。ドラフト1位で即戦力内野手としてオリックスに入団した田口は、土井正三監督の下ではイップスに苦しんで憂鬱な日々を過ごしていたが、仰木彬監督就任後に大きく飛躍。パンチ力を秘めたシュアな打撃に加え、外野手転向でゴールデングラブ賞を受賞。「仰木マジック」によって一流選手の仲間入りを果たした。

 今季、4年ぶりの現場復帰となった原辰徳監督の下でも再生した選手たちがいた。監督初就任だった2002年には、成績低迷で前年限りでの引退を決意していた桑田真澄が完全復活。先発ローテとして4年ぶりの2ケタ勝利(12勝6敗、防御率2.22)を挙げ、最優秀防御率のタイトルを獲得。リーグ優勝、日本一の原動力となった。

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藤浪と同じ阪神で大復活した先輩