原監督と握手を交わす中島宏之 (c)朝日新聞社
原監督と握手を交わす中島宏之 (c)朝日新聞社

 新加入した巨人・中島宏之内野手への風当たりが早くも強くなっている。1月28日から宮崎市内で始まった合同自主トレではジャイアンツカラーのオレンジ色のジャージを身にまとい報道陣の注目を集めたが、キャンプインの2月1日に腰の張りを訴えてまさかの別メニュー。ランニング、キャッチボールと軽めの練習で切り上げ、2日目以降も腰痛で全体練習に加わることがなかった、結局、第1クールは別メニュー調整で終わった。第2クール初日のこの日から全体練習に合流したが、一部の巨人ファンからは「中島にがっかりしたけどそれより首脳陣。なぜ3軍に落とさないの。他の若手がかわいそう」、「そりゃ実績も年齢も違うけど、谷岡との扱いの差がひどすぎる」とネット上で批判的な書き込みが相次いだ。

 原監督が数日前まで故障者に厳しい姿勢を打ち出していただけに、違和感を覚えたファンもいたかもしれない。1軍スタートを予定していた3年目右腕・谷岡竜平投手がコンディション不良で、キャンプイン目前の1月30日に3軍スタートに変更になった。原監督は「サラリーマンの世界ならクビだよな。ま、クビってことはないかもしれないけど、プロ野球選手の故障は職場放棄だから。 仕事ができる、できない以前の問題。秋のキャンプでも、そう言ったんだけど」とバッサリ。厳しい言葉は期待の大きさの表れかもしれないが、中島が腰の張りを訴えた際は「無理して長引くようではチーム、お互いにとってマイナスだから」と語った。もちろん、谷岡と中島では実績や立場が全く違う。実際に原監督も「あまり力を入れず、今までのナカジというタイプを貫いて戦ってくれ、と。新チームになって張り切りすぎるということで、体に異常をきたすことがあっては困る。極端にいえばキャンプ、オープン戦で結果があまり芳しくなくても、コンディションが良ければ必ず1軍からスタートさせる」と中島の入団会見で語っていた。

 新天地で心身ともに疲れがたまっていたのもあるかもしれない。だが、中島のコンディションを優先するなら腰の張りを訴えた初日の時点で3軍調整に変更してもよかったのではないだろうか。丸佳浩、炭谷銀仁朗、ビヤヌエバら新加入組も含めて1軍キャンプの野手は17選手。2軍も宇佐見真吾、大城卓三、石川慎吾ら若手の有望株が虎視眈々と昇格を狙っている。強い球団はチーム内の競争が激しく、故障して動けないようだったらすぐに2軍に降格させられるが、今の巨人はどうだろうか。若手のモチベーションが懸念される。(今中洋介)