選手育成や指導者養成、環境整備が遅れているという意見が中国サッカー協会に響いただろうか。アジアカップ敗退直後の1月31日には、中国協会とブラジルサッカー連盟の提携が発表され、10万人の育成カテゴリーのブラジル人コーチを受け入れる計画も明らかにされた。今後15年以内にブラジル人コーチを継続的に派遣して、中国の学校でサッカーの先生として働いてもらい、ブラジル流のコーチングシステムを丸ごと導入するということだが、中国とブラジルのサッカー環境や特徴には差があるのに、いきなり異国のやり方を受け入れるのは難しい。「ブラジル人指導者の雇用の受け入れ先になるだけ」といった冷めた目線で見るメディアもあるようだ。

「ブラジル人コーチを招聘する前に、中国協会はクラブライセンス制度を導入し、各クラブにアカデミーを設置することを義務づけることが必要だと思います。12~14年までリッピが率いた広州恒大、かつて岡田武史氏が指揮を執った杭州緑城、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)常連の山東魯能泰山などはしっかりしたアカデミーがあり、選手を育てていますが、そういう組織がないクラブも少なくない。育成環境がまちまちでは、世界で戦える選手も出てきませんし、中国代表として統一感のある戦いもできない。日本を見習って、そういうところから改善していくべきでしょう」

 親日家のサッカー記者が言うように、お金の使い方を見直し、有効な投資にできるように仕向けていくことが、中国サッカー発展の最重要テーマだ。「眠れる獅子」が「暴れる獅子」になるためには、まだまだ時間がかかるのかもしれない。