中島美嘉が明かした片道1時間の山道を上り下りして鍛えた原点とは? (2/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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中島美嘉が明かした片道1時間の山道を上り下りして鍛えた原点とは?

連載「LOVE YOU LIVE!」

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神舘和典dot.
コンサートは、その日のエネルギーをひと滴も残さないほど全力で歌う

コンサートは、その日のエネルギーをひと滴も残さないほど全力で歌う

「Fighter」「TOUGH」「I DON’T KNOW」など、ロックテイストの曲のときに見に着ける黒革のブラとミニとタトゥー柄のレギンス。どれも自前の衣装。

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映画『NANA』の主題歌「GLAMOUROUS SKY」と「一色(ひといろ)」を歌うときに着た赤いラヴジャケットときらきらのレギンス。女性ダンサーにも同じテイストの衣装を選んだ。

映画『NANA』の主題歌「GLAMOUROUS SKY」と「一色(ひといろ)」を歌うときに着た赤いラヴジャケットときらきらのレギンス。女性ダンサーにも同じテイストの衣装を選んだ。

『雪の華15周年ベスト盤 BIBLE』(ソニーミュージック)。CD3枚組43曲。各CDの1曲目にそれぞれテイクの異なる「雪の華」を収録。初回限定盤には2017年のツアー映像23曲がパッケージされている。写真はDVD付き初回限定盤。

『雪の華15周年ベスト盤 BIBLE』(ソニーミュージック)。CD3枚組43曲。各CDの1曲目にそれぞれテイクの異なる「雪の華」を収録。初回限定盤には2017年のツアー映像23曲がパッケージされている。写真はDVD付き初回限定盤。

 歌っているときに脳内に描かれるのも色だという。

「『雪の華』はシルバー。『ORION』はグラデーションがかかったネイビー。歌詞のイメージのままですね。でも『一番綺麗な私を』はちょっと変わっていて、オレンジと赤に近いピンクがマーブル状に回っている感じ。なぜなのか、理由はわかりません。ただ、こうした色が頭の中に描かれたときは、私の歌の状態がいいときだと思います。よけいなことを考えずに歌えているときに、脳内に色が浮かぶからです」

 ダンサーの人選や衣装のデザインや色も中島が決めている。

「私のステージの女性ダンサーは2人いて、どちらもバレリーナです。クラシックはもちろん、コンテンポラリーも踊れる人たち。覆面の男性はひとりでできるもんという有名なダンサーです。彼らの衣装は、離れた場所から専門のスタッフと一緒にバランスを確認して決めています。かなり詳細までイメージして、デザイナーに発注しました。本番の動きは、上手側、下手側など大雑把に位置を決めたら、あとは自由です。だから、毎公演違うアプローチになります」

 代表曲「雪の華」や「ORION」が象徴するように、中島の歌の魅力は儚さ。「雪の華」も「ORION」も歌詞には男女の幸せなシーンが描かれている。にもかかわらず、中島が歌うと、切なさや儚さ、そしてかすかなエロスがにじむ。人は悲しいときだけでなく、幸せを感じたときにも涙を流すのだと思い知らされる。中島だからこそ生まれる愛の景色は、多くのリスナーの心を震わせてきた。その一方でステージの上での中島のパフォーマンスは、ポップスターとしての魅力も強い。きらびやかな衣装、抜群の動きのダンサー、彼らとからむ中島自身のパフォーマンスにもエネルギーや運動能力の高さが感じられる。

「私、体力はあるんですよ。体はすごくは強い。強く生んで育ててくれた両親に感謝しています。中学1年まで片道1時間の山道を上り下りしての通学で、さらに強くなっていきました。自分の運動能力の高さに気づいたのは中学2年のときです。家族が山から鹿児島市内に引っ越して、近くの学校に通い始めたら、走っても、飛んでも、投げても、だれにも負けませんでした。圧倒的。みんな、どうやって生きてきたの? と思ったほどです。さすがに今は10代のころの体力はありませんけれど、同世代の人には負ける気はしません。そして、これはマインドの問題ですけれど、その日のエネルギーはすべてステージで使い果たします。2日間続けて公演がある初日でも、ちょっと余力を残しておくような器用なことはできません。歯止めが利かない性格なんですよ。それが必ずしもいい結果にならないことは経験上わかってはいるけれど、抑えられない。自分の持つ力を出し尽くして周囲に怒られた時期もありました。でも、変えられません。私が全力を出し切れば、バンドもスタッフも、私が何も言わなくても全力でやってくれます」

 こうして中島美嘉のライヴは中島美嘉色を濃くしていき、自分の“居場所”を得た中島のパフォーマンスが『雪の華15周年ベスト盤 BIBLE』ではたっぷりと楽しめる。

「デビューしたばかりのころ、10年後、15年後、私はすでに芸能界にいないと思っていました。インタビューでもそう答えていたはずです。じゃあ何をしているか――。大好きな洋服やメイクの仕事をしている自分をイメージしていました。でも、今は歌っていることが自分の仕事だと思えるようになってきました」

(神舘和典)


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神舘和典

1962年東京生まれ。音楽ライター。ジャズ、ロック、Jポップからクラシックまでクラシックまで膨大な数のアーティストをインタビューしてきた。『新書で入門ジャズの鉄板50枚+α』『音楽ライターが、書けなかった話』(以上新潮新書)『25人の偉大なるジャズメンが語る名盤・名言・名演奏』(幻冬舎新書)など著書多数。「文春トークライヴ」(文藝春秋)をはじめ音楽イベントのMCも行う。

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