中瀬ゆかり「トウチャンの死後、おひとりさま競輪場ツアーを敢行、幼稚なメンタルとは」 (1/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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中瀬ゆかり「トウチャンの死後、おひとりさま競輪場ツアーを敢行、幼稚なメンタルとは」

連載「50代ボツイチ再生工場」

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中瀬ゆかり(なかせ・ゆかり)/和歌山県出身。「新潮」編集部、「新潮45」編集長等を経て、2011年4月より出版部部長。「5時に夢中!」(TOKYO MX)、「とくダネ!」(フジテレビ)、「垣花正 あなたとハッピー!」(ニッポン放送)などに出演中。編集者として、白洲正子、野坂昭如、北杜夫、林真理子、群ようこなどの人気作家を担当。彼らのエッセイに「ペコちゃん」「魔性の女A子」などの名前で登場する名物編集長。最愛の伴侶、作家の白川道が2015年4月に死去。ボツイチに

中瀬ゆかり(なかせ・ゆかり)/和歌山県出身。「新潮」編集部、「新潮45」編集長等を経て、2011年4月より出版部部長。「5時に夢中!」(TOKYO MX)、「とくダネ!」(フジテレビ)、「垣花正 あなたとハッピー!」(ニッポン放送)などに出演中。編集者として、白洲正子、野坂昭如、北杜夫、林真理子、群ようこなどの人気作家を担当。彼らのエッセイに「ペコちゃん」「魔性の女A子」などの名前で登場する名物編集長。最愛の伴侶、作家の白川道が2015年4月に死去。ボツイチに

※写真はイメージです

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 いま、旅行代理店が主催する「おひとりさまツアー」が注目を浴びているようだ。条件は「全員ひとりで参加」友人同士やカップルなどは厳禁。中でも「女性限定のひとり旅」が人気らしい。休みの合う友人がいないけど、たったひとりで見知らぬ海外に出かけるのは心細い、さりとて、ほかのツアーだと、夫婦や友人同士が和気藹々としている隣にひとりでいることがなんだか寂しい……その心理わからなくもないし、これからふえる「おひとりさま社会」の中で需要は高まりそうだ。実際、30代の知人女性がツアーに参加して、そこで知り合った50代の女性と1週間の旅行中すっかり仲良くなり、帰国してからもご飯会をして親交を温め、2人で旅行に行くことになるかも、といういい話を聞いた。年齢も仕事も環境も違うが趣味と話しのあう「タビトモ」を見事ゲットした、というわけだ。

 主に女性がひとりで生きたり行動したりすることを指して使われる意味での「おひとりさま」は、同名のタイトルの本を岩下久美子さんが出版したのがたぶん最初で、そのあと、牛窪恵さんらが広めて流行語になった。ちょうど21世紀に入って間もない頃だ。私はその頃すでにトウチャンと暮らし始めていたし、もともと単独行動が苦手で、飲食店にもひとりで入れないタイプだったので、颯爽とひとりで鮨をつまんだり、出張以外でひとり旅に出かけていく女たちを「カッコいい」とは思いながらも、まったく実践できないでいた。

 さすがに、買い物や試写会、喫茶店くらいにはひとりで出かけてはいたが、夕食を外で食べたり、バーでグラスを傾けるレベルの「おひとりさま」行動がすでに無理で、だからこそ、トウチャン亡きあと、毎晩のように相手をとっかえひっかえ食事に出ていたのだ。

 昭和のおっさんでマッチョ思想のトウチャンが「女が一人で雀荘に出かけたり、競輪に行くのはアウトだから、俺と一緒に行くだけにしろよ」と言っていたので、彼が亡くなってしばらくは言いつけどおりにしていたが、その年の晦日に京王閣で開かれた競輪グランプリを皮切りにひとり競輪場を敢行、その後も新橋の場外車券売り場「ラピスタ」には月に1度はひとりで訪れている。昨年末の競輪GPは静岡であったので、ひとりで出かけ、ひとりでホテルに宿泊した。さすがに夕ご飯のおひとり様外食はまだ無理で(昼飯は大丈夫)、仲良しのスポーツ紙の記者さんとお鮨を食べたが。競輪と言う没頭できるものがあれば寂しく感じるヒマもないのだが、それでもトウチャンと2人で一緒に出掛けていた場所にひとりで出かけるのは、覚悟していた以上に寂しくて、幻みたいにトウチャンの姿が見えたり声が聞こえたりもして、やっぱりちょっと視界が潤んだりしてしまったけれど、精神的リハビリには劇薬として役に立ったと思う。


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