一方で今年のパ・リーグのルーキーは3位以下の投手に即戦力候補が多い。名前を挙げると森脇亮介(西武6位)、板東湧梧(ソフトバンク4位)、奥村政稔(ソフトバンク7位)、生田目翼(日本ハム3位)、荒西祐大(オリックス3位)、富山凌雅(オリックス4位)、弓削隼人(楽天4位)などになる。特にリリーフですぐ使われそうなのが森脇、奥村、荒西の三人だ。森脇は細身ながら柔らかい腕の振りで打者に向かっていく強気のピッチングが持ち味。先発ではペース配分からか少しスピードが落ちるものの、短いイニングであれば球威で圧倒できるだけのボールは持っている。奥村と荒西は長く社会人で活躍してきた実績のある右腕。奥村は少し右肩の下がるテイクバックだが、豪快に投げおろすストレートは常時140キロ台後半をマークする。大学を2年で中退し、社会人でも6年を過ごしたが年齢を重ねてもピッチングに若さがあるのが魅力だ。荒西は本格派のサイドスロー。腕の振りは横だが手首が立ち、ボールを抑え込めるのが特長だ。スピードも140キロ台後半をマークし、数字に見合った威力がある。昨年のアジア大会では社会人の日本代表として4試合にリリーフ登板し、6回2/3を投げて8奪三振、無四死球、無失点と完璧なピッチングを見せた。高校卒で社会人入りして8年を過ごしたが、ここ2年で凄みが増してきた印象だ。

 板東、生田目、富山は先発で試してみたいタイプ。板東は持ち味のフォームの良さとコントロールにスピードが加わった。好投手を毎年輩出するJR東日本で成長してきたというのも安心感がある。生田目は大学時代は荒々しい剛球投手のイメージだったが、社会人で打者と駆け引きができるようになった。ここ一番で見せるボールの勢いも健在だ。富山はこの中で最も若い高校卒3年目でのプロ入りだが、どちらかというと技巧的なピッチングが持ち味。驚くようなボールを投げるわけではないが、ボールの出所の見づらいフォームと安定したコントロールで試合を作る能力が高い。最後の一人、弓削は193cmの大型サウスポーで、少し変則なサイド気味の腕の振りが特徴。大学でも本格化したのが4年秋という遅咲きで、まだまだ成長が見込めるというのも魅力だ。先発もリリーフもサウスポーは不足しているチーム事情だけに、いきなり大事な場面で起用されることも十分に考えられるだろう。

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野手の即戦力として期待できそうなのは?