■「ルール違反」には厳格なお国柄

 また、ホームや沿線でカメラを手に列車を待つ人たちも紳士的である。ホームの黄色い線をはみ出る人も少ない。もしいたら、英国人ではなく、外国人かもしれない。外国人の私はかつてヨーク駅のホームで撮影中、駅員から注意されたことがある。黄色のボーダーラインをちょっとだけ、はみ出していたからだ。こういうルール違反には厳しい国でもある。

 英国は鉄道発祥の国であり、かつ紳士の国であることも肝に銘じて撮影に臨みたい。

◯櫻井寛(さくらい・かん)/1954年、長野県生まれ。鉄道員にあこがれ昭和鉄道高校に入学したが、在学中に鉄道写真にみせられ、日本大学芸術学部写真学科に進む。卒業後、出版社写真部勤務を経て、90年にフォトジャーナリストとして独立。93年、陸路海路のみで88日間世界一周。94年、『鉄道世界夢紀行』で第19回交通図書賞を受賞。著書に『ぞっこん鉄道今昔』(朝日新聞出版)など多数。