関係改善の兆しが見えない安倍晋三首相と文在寅韓国大統領(c)朝日新聞社
関係改善の兆しが見えない安倍晋三首相と文在寅韓国大統領(c)朝日新聞社
元駐日韓国公使である洪氏
元駐日韓国公使である洪氏

 日本と韓国の対立がおさまらない。日本の哨戒機が韓国海軍駆逐艦にレーダー照射された問題で、両国の国民も巻き込んだ非難の応酬が続く。24日には韓国防衛省が日本の哨戒機が韓国海軍艦艇に対し、23日に低空で「威嚇飛行」をしたとして、5枚の画像を公開した。これを受けて自衛隊制服組トップの河野克俊統合幕僚長は記者会見で低空飛行の事実を否定。「韓国側に冷静な対応を求めたい」と語った。

【写真】元駐日韓国公使の洪氏

 以前から日本と韓国は「近くて遠い国」と呼ばれていたが、その心理的距離はかつてないほど広がっている。2017年に誕生した韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は、過去の政権よりも日本に対して強硬な対応を繰り返し、それに対して安倍晋三政権も強く反発している。コリア・レポートの辺真一編集長は、こう話す。

「日韓関係の悪化はこれまでも何度もあった。ただ、徴用工、慰安婦、レーダー照射などこれほど連続で問題が持ち上がったのははじめて。一方で、北朝鮮と韓国の関係は改善しています。韓国にとって北朝鮮は『前門の虎』で、竹島問題や歴史問題を抱える日本は『後門の狼』。これまでは安全保障上、対立があっても最後は対北朝鮮のために日韓で協力していた。それが北朝鮮の脅威が小さくなり、後門の狼である日本に強く出るようになった。時代が変わったということです」

 東アジア情勢の大きな変化に、韓国国内でも様々な動きが出ている。元駐日韓国公使である洪(ホン)ヒョン氏は、こう話す。

「日本は1945年に戦争が終わって平和になりましたが、韓国は70年以上戦争状態でした。ここが日韓両国で最も違う。今、文政権は、北との南北連邦制に向けて動いていますが、北は金一族の絶対王朝国家です。にもかかわらず、韓国内で日米との関係を重視する人々は、要職から次々に外されている。韓国では今、社会主義に共感する親北・親中陣営と自由主義を信奉する陣営で内戦が起きている状況です。信じられないことが起きている」

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韓国で強まる「日本軽視」の理由