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「19被安打」なのに完投する羽目に…投手を襲った“悔しい災難”

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久保田龍雄dot.
オリックス時代の長谷川滋利 (c)朝日新聞社

オリックス時代の長谷川滋利 (c)朝日新聞社

 キャンプインを間近に控え、早くも新シーズンが待ちきれないというファンも多いと思うが、懐かしいプロ野球のニュースも求める方も少なくない。こうした要望にお応えすべく、「プロ野球B級ニュース事件簿」シリーズ(日刊スポーツ出版)の著者であるライターの久保田龍雄氏に、80~90年代の“B級ニュース”を振り返ってもらった。今回は「お気の毒な投手編」だ。

 ピッチャー返しの打球は一歩間違えれば大けがのもとだが、ボールだけではなく、バットまで一緒に飛んでくるという恐怖の体験を味わったのが、大洋・斉藤明夫。

 1982年7月25日のオールスター第2戦(西武)、全セが5対4とリードの7回に4番手として登板した斉藤は、2死から落合博満(ロッテ)、柏原純一(日本ハム)に連打され、一、三塁のピンチを招く。

 だが、この年当時の日本記録だった8連続セーブとシーズン30セーブを達成するなど、ロングリリーフもこなせる守護神として活躍していた斉藤にとって、これぐらいのピンチはお手のもの。次打者・平野光泰(近鉄)を外角低めカーブでボテボテの投ゴロに打ち取った……否、打ち取ったはずだった。

 ところが、直後、打球を処理しようとした斉藤めがけて、平野のバットがヘリコプターの回転翼のようにキュンキュンと回転しながら向かってくるではないか。

 実は、2日前の7月23日に「コンバット」のサンダース軍曹役で知られる米俳優、ビック・モローが映画の撮影中に落下してきたヘリコプターに巻き込まれて事故死したばかり。

「僕の好きなビック・モローがあれで死んだばかりで、一瞬焦った」という斉藤は捕球どころではなくなった。

 捕手・中尾孝義(中日)が打球に追いついたときには、平野はすでに一塁を駆け抜け、三塁走者・落合もホームインしたあと。捕前内野安打の珍同点劇で、全パは5対5とした。

 全セ・藤田元司監督が「守備妨害ではないか?」と抗議したが、平光清球審は「飛んだバットが投手のみの守備範囲なら妨害を取るが、あの場合、捕手、三塁手も範囲内だからね」という理由で却下。

 この結果、斉藤はオールスター初セーブをフイにしたばかりでなく、延長戦に入ったため、既定の3回を超えて、11回まで5回を投げる羽目に。まさに骨折り損のくたびれ儲けとなった。



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