ここまで平均得点20点以上、リバウンド10以上を挙げ、まさに大黒柱の存在。NCAAの名門カンザス大、オーストリア、ギリシャでもプレーした26歳はDフライズについてどう感じているのか。

「まず驚いたのは環境が素晴らしいということ。今は超満員ではないけど、毎試合のように足を運んでくれるファンも多い。みんな熱狂的に応援してくれる。僕たちのモチベーションを上げてくれる要因に間違いない。他チームの本拠地で試合をしても、感じないほどの熱を広島には感じるんだよ」

 トレイラーの母国はバスケットも野球に引けを取らないほどの人気スポーツ。カープ人気が凄まじい広島については。

「カープの試合は見たことあるけど、エキサイティングで良いチーム。広島の歴史の中での1つの大きなファクターにもなっている。これだけ愛されているのもわかる。まだまだBリーグ、Dフライズの歴史は浅いから、そこはまだまだ及ばないよ。だから、これから我々や未来の世代がDフライズ、そしてバスケットの伝統や文化を作っていかないといけない」

 バスケ界でもアメリカ本土で活躍する日本人選手も出てきた。また、野球界では来日しNPBでプレー後、MLBで結果を残す選手も多い。トレイラー自身は将来のNBA入りを夢見ていないのだろうか。

「もちろんNBAは最高の舞台だと思う。でも現実的に考えて僕も26歳で、NBA挑戦には少し年齢を重ねすぎている。Dフライズで選手生活を全うして何かを残したいという気持ちが強い。このチームにとって欠かせない存在になれるようにベストを尽くす、そして勝ちたいんだ」

 最後にチームを預かる、尺野将太ヘッドコーチに聞いた。

「B2は本当にタフな戦いが続く。順位が下位のチームと戦っても接戦になってしまう。現場としてはそれらを1つずつ勝ち抜くしか考えていない。シーズンも始まっているし、戦力も決まっている。それに対してどうこう言うのではなく、そこで何をやるのか。勝っていくしかない。そのために最善を尽くすのみですね」

 自身、トップレベルでのプレー経験はないが、女子日本代表スタッフや、Bリーグ・横浜ヘッドコーチなどを歴任。戦略やデータを重視した緻密な戦略でチームを率いている。観察、準備を欠かさない尺野コーチは分析眼にも優れており、チームの現状についても語ってくれた。

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広島にしかない特別なバスケットボールチーム