定年後に向けた活動、略して「定活」が注目を集めている。経済コラムニストの大江英樹氏は、定活を成功させるには、定年後再雇用を選ばず、独立することが大事だと指摘。そのためには現役時代から、「副業」をおこない、セカンドライフのリハーサルをすることが要になるという。著書『定年前』(朝日新書)より、内容の一部を紹介する。

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 サラリーマンの副業・兼業が話題になることが多くなりました。私は現役時代から積極的に兼業や副業をおこない、定年リハーサルとなる定年活動、略して「定活」をぜひ勧めたいと思っています。

 2018年の1月に厚生労働省によって「モデル就業規則」の改定が実施されました。これによって、それまでは「原則禁止」であった副業が「原則容認」という方向に変わったのです。この変化が意味するのは、明らかに働き方改革の趣旨に合わせて副業を認める方向へ舵を切ったことだと考えるべきでしょう。

 私は50代社員向けの研修をやることが多いのですが、人事部の人達と話をすると、これからの社員のキャリアや自立の支援を考えると「副業」は今後、考えていくべきテーマであるとよく聞きます。まだまだ制約はあるかもしれませんが、もし自分の会社が副業を認めているのであれば、積極的にやるべきだと思います。その理由はおもに三つあります。

■再雇用で働くのはつまらない

 まず一つ目の理由は、定年後の働き方の選択肢が増えることです。50代以降は定年後を見据えた過ごし方、働き方を考えるべき時期ですが、多くの人は同じ会社に残って再雇用で働くというケースが多いようです。しかし、私の経験上、それはあまり面白くありません。定年後は思い切って自分でやってみたかった仕事におおいに挑戦すべきです。

 現役時代から副業をおこなうことで、それが定年後はそのまま本業に変わるということも起こりえます。パターン化された定年後の再雇用という働き方よりも、ずっと生き生きと働けるのは間違いないでしょう。

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二つ目の理由とは?