狙い通りの形でCKからいきなりゴールを決めた冨安(写真:getty Images)
狙い通りの形でCKからいきなりゴールを決めた冨安(写真:getty Images)

 アジアカップのラウンド16、日本のサウジアラビア戦での唯一のゴールは前半20分。左のCKから柴崎岳のキックにDF冨安健洋がヘッドで合わせた。

「分析スタッフのアドバイス通り、セットプレーがキーになるっていう話はあった」。そう語る吉田麻也は試合前々日に“セットプレーがウィークポイントなのではないか”と質問したときは明言を避けていたが、やはりスカウティングで情報が入り、しっかりと準備していたようだ。

「(冨安との会話で)マンツーマンだけど逆にファーが開くだろうというのは言われていたけど、その通りで。岳もその通りのボールを蹴ってくれた」

 そう吉田が振り返る通り、サウジアラビアはゴール前で冨安、吉田、酒井宏樹、遠藤航、武藤嘉紀の5枚にマークを付けてきた。ロシアワールドカップ時はマンツーマンで守っていたが、その後ゾーンディフェンスを採用するようになっていたサウジアラビア。しかし、この日本戦ではマンツーマンを採用してきた。

<マンツーマンのマッチアップ>
吉田麻也 189 ー アルブライヒ 182
冨安健洋 188 ー アル・ファティル 180
酒井宏樹 183 ー  アルモカハウィ 174
遠藤航 178 ー アル・ブライク 173
武藤嘉紀 178 ー アル・シャハラニ 170

 さらにペナルティエリア内のフリーマンとして177cmのオタイフがおり、サウジアラビアはニアサイドのストーンとして170cmのハタンが、ミドルレンジのニアサイドで原口元気を174cmのアル・ドサリがチェックしていた。168cmのFWアル・ムワッラドはセカンドボール&カウンターに備えて前方に残っていた。

 柴崎が左コーナーにボールをセットして蹴る前に、ゴール前では吉田が一度中に入る動きをしてからまた戻るなど駆け引きをしていた。そこから一拍置いて柴崎が右足でボールを蹴る。その瞬間に吉田と遠藤がニアに動き出し、酒井が大外に開くと、ファー寄りのポジションで冨安をマークしていたアル・ファティルがつられて少し手前に動いた瞬間にインスイングのボールが入ってくると、冨安はドンピシャのタイミングでヘッドを合わせた。

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柴崎「狙ったところに蹴ることができた」