シニア初年度に驚異のパフォーマンスを見せている紀平(写真:getty Images)
シニア初年度に驚異のパフォーマンスを見せている紀平(写真:getty Images)

 シニア初挑戦の今季は、昨年9月のチャレンジャーシリーズを皮切りに、GPシリーズも連勝、GPファイナルも初出場で優勝と、一気に世界のトップレベルに駆け上がった紀平梨花。

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 そんな彼女のシニアデビュー前、昨年5月末からのアイスショーで目を引いたのは、指先まで意識を巡らす柔らかい体の使い方をする大きな滑りだ。リンクの狭さや氷のコンディションもあってジャンプの転倒は多かったが、昨季まで所々に見えた動きの硬さが解消されている滑りには、シニア挑戦へ向けた意欲がにじみ出ているようだった。

 紀平は、2015年の全中予選で初めてトリプルアクセルを跳び、転倒はしたが回り切った。「それからは『跳べるからには挑戦しなきゃ』という気持ちになった」という彼女は、翌シーズンのジュニアGPリュブリャナ杯では国際大会史上7人目のトリプルアクセルを含め、史上初の6種類8本の3回転ジャンプを成功させて優勝した。だが、その後はケガもあって全日本ジュニアは11位と振るわずに全日本選手権出場も逃し、ジュニアGPファイナル出場の後は全中への出場も叶わなかった。しかし、本人は「2月の全大阪で3A(トリプルアクセル)+3T(トーループ)+2Tを跳べたからそれでよかったとなりました」と前向きに捉えていた。

 2017年シーズンも全日本ジュニアのフリーでは、トリプルアクセルを2本決めてショートプログラム(SP)6位からの逆転優勝を果たす。ジュニアGPファイナルも4位ながらフリーで女子史上初の3A+3Tを成功させた。ただ、初出場だった全日本選手権はSPとフリーで3本のトリプルアクセルを決めて3位になりながらも、優勝を狙っていた世界ジュニアでは2本ともパンク(失敗)して8位と当たり外れが目立つ。本人も「私は試合モードのリンクが苦手。勝った試合は全部練習用のリンクみたいなところだったので、大きいリンクでも緊張しないようにするのが課題だと思っている」と話していた。

 だが、今季は初戦のオンドレイネペラ杯のSPでは転倒したものの、フリーでは3A+3Tを含めて2本のトリプルアクセルを成功させ、自己最高の218.16点で優勝したことが自信になった。

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紀平にあった大きな変化とは