巨人の監督・原辰徳氏(左)と3年間指揮を執った前監督の高橋由伸氏 (c)朝日新聞社
巨人の監督・原辰徳氏(左)と3年間指揮を執った前監督の高橋由伸氏 (c)朝日新聞社
先発ローテーションの一角で期待されたがわずか4勝にとどまった野上亮磨投手 (c)朝日新聞社
先発ローテーションの一角で期待されたがわずか4勝にとどまった野上亮磨投手 (c)朝日新聞社

 今オフの補強戦線で最も目立ったのが5年ぶりのV奪回に燃える巨人だ。原辰徳監督が3度目の監督に就任し、大型補強を敢行した。丸佳浩、中島宏之、炭谷銀仁朗、岩隈久志、クリスチャン・ビヤヌエバ、ライアン・クック…ビッグネームの獲得に成功する一方で、チームの屋台骨を支えた内海哲也、長野久義がFA移籍に伴うプロテクト枠から外れて人的補償で退団した。

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 血の入れ替えの断行は大きな衝撃としてファンに受け止められたが、球団フロント、原監督が常勝軍団の再構築へ覚悟を示したとも言えるだろう。残った選手たちもチャンスが平等にあるわけではない。特に高橋由伸前監督が政権時に獲得した選手たちは崖っぷちに追い込まれている。

 17年の本塁打王・ゲレーロは今季が契約最終年になる。17年オフに2年総額8億円の大型契約を結んだが、昨年は82試合出場で打率・244、15本塁打。ファームで調整中だったシーズン中は高橋由伸前監督との面談を拒否するなど「トラブルメーカー」として評価を落とした。

 スポーツ紙によると、原監督は「戦力になってもらわないと。右(打者)の長打を打つ人の共通点が自分の中にある。ちょっと指摘したいところが見つかっているから(指導するのが)楽しみ」と球団の国際部を通じ、ゲレーロを鼓舞するメッセージを送ったという。再生に自信を見せるが、外野の定位置が保証されているわけではない。今年が正念場のシーズンになる。

 近年の低迷の一因と指摘される「FA移籍組」の立場も危うい。16年オフにソフトバンクからFA移籍した森福允彦は昨季わずか2試合登板で防御率13.50。シーズンの大半をファームで過ごした。今年が3年契約の最終年。結果を残さなければ構想外の危機になる。17年オフに西武から移籍した野上亮磨も昨年は期待を裏切った。先発ローテーションの一角で期待されたが4勝のみ。7月以降は救援に配置転換され、敗戦処理での登板が多かった。今季は3年契約の2年目だが、置かれた状況は厳しい。

 元旦に放送されたラジオ日本の番組に原監督が出演した際、先発候補を6組のペアに固定して競争で勝ち残った投手をローテ入りさせる施策を明言した。

 野上の相手は球界のエースに成長した菅野智之。17年から2年連続最多勝、沢村賞を受賞した絶対的エースとのガチンコ勝負に「菅野と対決って勝負になってないだろ」と周囲からは同情論も聞こえるが、春季キャンプ、オープン戦で結果を残し続ければ他の投手の状態次第でチャンスがあるかもしれない。ゲレーロ、森福、野上…「由伸政権」のFA移籍組が信頼を取り戻すための戦いはすでに始まっている。(今中洋介)