仮に、特定選手の意向で指揮官のクビが飛ぶようなクラブだとしたら忠誠を誓えない選手が出てくるのも仕方ないだろう。今回移籍したアカデミー出身の山口(神戸)と杉本はその象徴的存在だと言われている。山口はクラブレジェンドで同じボランチだった尹監督をリスペクトしていたし、杉本も自身をFWの柱に据えてくれ、2017年J1で22ゴールという結果に導いてくれた指揮官に感謝の念を抱いていた。

「杉本は2018年終盤のゴールシーンで柿谷とのハイタッチを拒否した動画が出回りました。山口も12月末の楽天グループ納会に出席した際、『移籍の理由を話すのはまだ早いけど、それほど大きな決断を持って出てきた。いろいろな人に重く受け止めてほしい』と意味深な発言をした。それも暗にクラブ側の姿勢を批判しているのではないかと見る向きが強い。2016年6月にわずか半年でハノーファー(ドイツ)からセレッソに戻ってきた山口は『自分がJリーグのタイトルを取らせてクラブに恩返しする』と話していた。そこまでセレッソ愛の強かった彼が出ていくのだから、よほどのこと。ロティーナ体制になっても特定の選手を重用する保証はない。同じことが繰り返される可能性もゼロではないと思います」(前出のJリーグ関係者)

 ことの真相はどうあれ、客観的に戦力を分析すれば、山口や杉本、山村の流出の穴を埋めるべく、セレッソはJリーグで実績のある都倉賢(札幌)、奥埜博亮(仙台)、元日本代表の藤田直之(神戸)を獲得したが、どこまでフル稼働できるか分からない。セレッソは山口や杉本らロンドン五輪世代(1989~1992年生まれ)以降の若手も思うように伸びておらず、世代交代の難しさにも直面している。

 来季、セレッソがどんな戦いをみせるのか、注目していきたい。