作家・演出家の鴻上尚史氏が、あなたのお悩みにおこたえします! 夫婦、家族、職場、学校、恋愛、友人、親戚、社会人サークル、孤独……。皆さまのお悩みをぜひ、ご投稿ください(https://publications.asahi.com/kokami/)。採用された方には、本連載にて鴻上尚史氏が心底真剣に、そしてポジティブにおこたえします(撮影/写真部・小山幸佑)
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写真は本文とは関係ありません(※イメージ写真)
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 鴻上尚史人生相談。「息子が俳優になりたいと言い出した」と相談者。大学で4年間演劇を齧っただけの息子に人生を棒にふってほしくない、と反対する相談者に鴻上尚史が答えた、俳優と人間力の関係とは?

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【相談16】大学生の息子が俳優になりたいと言いだしました(相談者・51歳 男性 エイ助)

 半年くらい前から、大学生の息子が俳優になりたいと言いだしました。息子は大学から演劇部に入り、のめりこんだようです。もともと大人しい性格だったので、社会に出る前に、何か積極的になれるものが見つかってよかったくらいに思っていました。ですが、俳優を職業にしたいと言いだした時は私も妻も、びっくり。もちろん反対です。

 ですが息子の意志はかたいらしく、「一回人生を試してみたい。反対されても家を出る」と譲りません。

 おそらく俳優として成功するなんていうことは、1%以下の確率ですよね。それで息子が人生を棒に振ってしまったらと心配になるのです。ですが、最近は期限つきで許してみようかと考え始めています。妻は3年と言いますが、私は5年くらいかなと。

 こんな過保護で親ばかの私たちをきっとお笑いになるでしょうが、やはり息子に人生を失敗してほしくない。こんなこと伺って恐縮ですが、やはり俳優になろうと思ったら、10年くらいはがんばらないといけないでしょうか。だいたい大学で4年間齧っただけの22歳が、プロの俳優なんて目指せるものでしょうか?

【鴻上さんの答え】
 エイ助さん。僕はプロの演出家として、もう、40年近く俳優のオーディションを続けています。

 劇団に所属する俳優を選ぶものもあれば、特定の作品の出演者を選ぶものもあります。

 劇団の所属オーディションの時に多いのですが、特徴的な人達がいます。「30歳の女性でオーディションを受けるのは初めて」というグループです。

 最初にこのことに気づいた時は、「どうして、今、初めてオーディションを受けるんですか?」と聞きました。

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鴻上尚史

鴻上尚史

鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)/作家・演出家。1958年、愛媛県生まれ。早稲田大学卒。在学中に劇団「第三舞台」を旗揚げ。94年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞受賞、2010年「グローブ・ジャングル」で読売文学賞戯曲賞。現在は、「KOKAMI@network」と「虚構の劇団」を中心に脚本、演出を手掛ける。近著に『「空気」を読んでも従わない~生き苦しさからラクになる 』(岩波ジュニア新書)、『ドン・キホーテ走る』(論創社)、また本連載を書籍にした『鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』がある。Twitter(@KOKAMIShoji)も随時更新中

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