大迫勇也選手 (c)朝日新聞社
大迫勇也選手 (c)朝日新聞社

 苦しみながらも3-2で勝利を収めた日本代表。試合後の会見でケガ明けの大迫勇也を90分引っ張った理由について聞かれた森保一監督は「代えないといけない理由はないと思います」と前置きしながら「コンディションの部分で別メニューの調整をしていて、もう少し(試合の)展開に余裕があれば代えていたと思います」と回答した。

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 このトルクメニスタン戦は後半に大迫の2得点で逆転したことで、昨年の流行語大賞の候補にもノミネートされた「大迫半端ないって」のフレーズがSNSやそこかしこで飛び交い、地上波のテレビ中継でも解説者の松木安太郎氏が「大迫半端ねえな」とコメントしたそうだが、それ以上に前線の戦術的な大黒柱として欠かせない存在であることが改めて証明された試合だった。

 本題に入る前に2得点を振り返ると、56分の1点目はボランチの冨安健洋から柴崎岳、槙野智章、長友佑都、さらに左サイドの原口元気とワイドに繋いだ展開から、ペナルティエリア内で受けた大迫がリベロのババジャノフを鮮やかなターンで外して右隅に決めた。60分の2点目は吉田麻也が左に大きく展開したロングボールを原口がインサイドに落とし、走り込んだ長友が相手ディフェンスと交錯しながらもマイボールにしてゴール前に入れると、GKもニアに寄っていた背後で大迫がタイミングよく合わせた。

 さらに71分の堂安律による3点目にも大迫は絡んでいる。ワイドに展開した流れで柴崎が中央に入れた縦パスは相手ディフェンスにカットされるが、大迫が素早くフォローして拾い、南野拓実のアシストからの堂安のゴールにつなげた。

 そうしたゴールに直結するプレーももちろん価値が高いが、大迫が日本代表に欠かせない理由は苦しいときの前線の当てどころ、ボールの収めどころとして常に存在感を発揮し、チームのプレーに安定感をもたらせることだ。あれだけバタバタした前半でさえ、大迫にボールが入ったところからは確実にチャンスが生まれたし、カウンターのリスクもほとんど生じなかった。

 そしてリードしてからの終盤。どんどんロングボールを蹴ってくるトルクメニスタンに対し、的確なチェックで起点を限定し、高い位置でボールを収め、あるいは深い位置で相手ディフェンスとデュエルすることでラインを押し下げ、敵の攻勢を削いだ。

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