裁判まで弁護士に依頼するとなると、それなりの着手金が必要となる(写真:getty images)
裁判まで弁護士に依頼するとなると、それなりの着手金が必要となる(写真:getty images)
写真左から佐々木広人(アサヒカメラ編集長)、岩崎拓哉(写真家)、有賀正博(写真家)、三平聡史(弁護士)
写真左から佐々木広人(アサヒカメラ編集長)、岩崎拓哉(写真家)、有賀正博(写真家)、三平聡史(弁護士)
アサヒカメラ1月号から
アサヒカメラ1月号から

 インターネット上では相変わらず写真が無断使用され、その価値が毀損されている。この時代にわれわれはどう向き合うべきか。アサヒカメラ1月号では、著作権侵害と闘い続ける二人の写真家、有賀正博、岩崎拓哉を招き、弁護士の三平聡史、アサヒカメラ編集長の佐々木広人の4人で座談会を実施。ここでは、誌面で収録しきれなかった話も含めて3回に渡ってお届けする。悪化する著作権侵害とどう向き合うべきか、そして、解決策とは――。最終回の今回は“闘い方”を指南する。

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――有賀さんと岩崎さんは経験を積んでいますが、いざ自分の写真が無断使用されたとき、どうしていいかわからないという人は思った以上に多いようです。

有賀 たとえば60万円以下の支払いを求める場合、1回の審理で判決が出る少額訴訟という制度や、それを審理する簡易裁判所の存在があることを、僕ははじめのころは知りませんでした。どうアプローチすればいいかすらわからなかったので、市の法律相談会に行きました。僕のブログに届く相談メールでも「相談窓口がわからない」という悩みはよく聞きます。

岩崎 簡易裁判所に行くと、「作成コーナー」みたいなのがあって、訴状の書き方など、いろいろ教えてくれるんですけどね。

三平 「こうすれば勝つ、有利になる」というようなアドバイスは絶対にないですけど。

岩崎 ボクシングに例えると、「試合は3ラウンドですよ」とか、「グローブの紐ほどけてますよ」みたいな感じで、「相手は右脇腹が弱い」というアドバイスはない、みたいな(笑)。

有賀 なんとなく匂わせてくれるような時はたまにありますよね。ちょっとだけ被害者側のこちらに同情してくれているというか……。

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