最年長の32歳として大会に臨む青山は「急に集まってきてくれた追加メンバーを含めて、そこまで問題はないと思います」と強調した。ただ、始まる前から「選手層が不安です」などと弱音を吐く代表選手はいない。2014年のブラジルワールドカップを経験しているベテランでも、決勝まで3週間に7試合というレギュレーションは未知の領域であり、ケガなどの予測はしようがないだろう。

 ブラジルワールドカップで日本代表を率いたアルベルト・ザッケローニ氏(現・UAE代表監督)は大会に臨むにあたり、本職のボランチを4枚にするか、5枚にするか悩んだ末に長谷部誠、遠藤保仁、山口蛍、青山敏弘を選び、複数のポジションをこなせる伊野波雅彦をバックアップとして加え、また当時は主にセンターバックで起用されていた今野泰幸も有事の備えとしていた。

 結局グループリーグの3試合で日本は敗退したため、ボランチは長谷部が3試合、山口が2試合、青山が1試合と、先発は3人の起用で終わったが、優勝が目標となる今回のアジアカップは7試合を戦う必要があり、しかも上に行くにつれて試合の強度は高まっていくと予想される。もちろん、そうした負荷はどの強豪も抱えるものだが、日本はF組で日程が最も厳しく、大会前のアクシデントもあったということで、より難しい状況で大会に入っていくことになる。

 ただ、解決策と言わないまでも、最初の2試合に勝利し、すでにグループリーグ突破を決めた状況でウズベキスタン戦に臨めれば、順位も考えながらある程度のターンオーバーは可能だ。トルクメニスタンやオマーンを軽視することはできないが、できるだけ余計なカードやケガなく2連勝することが、優勝するための大事なタスクとなりそうだ。(文・河治良幸)

●プロフィール
河治良幸
サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書は『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)、『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)など。Jリーグから欧州リーグ、代表戦まで、プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHKスペシャル『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の“天才能”」に監修として参加。8月21日に『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)を刊行。