最後にゴーン氏は、「私は人生の20年間に日産の復活とアライアンス構築にささげてきた。従業員との努力はめざましい成果を挙げてきた。日産での成功は家族の次に最も人生の喜びだった」「私は無実です。私は常に誠実に職務にあたってきた。私は不当に勾留されている。傾聴していただき感謝する」と主張した。

 午後には、ゴーン氏の弁護人を務める大鶴基成弁護士ら3人が都内の外国特派員協会で記者会見を開催。外国メディアの記者ら百人以上が集まるなか、特捜部の逮捕を強く批判した。

「いま、ゴーンさんが逮捕・勾留されている為替スワップを日産に付け替えたという背任容疑は、まったく嫌疑がないと考えております。最初はゴーンさんの話だけ聞いていましたので確信していたわけではありませんでしたが、日産の取締役会の議事録、これは検察がゴーンさんに説明して私たちに説明したものですが、それを聞いて私たちは確信しました」

「日産と銀行とゴーンさんとの三者間の合意があるのに、なぜ、裁判官が検察の言うとおりに逮捕状を認めたのか、疑問です」

 また、大鶴弁護士は逮捕の背景にルノーと日産の経営に関する対立があったことも指摘した

 ゴーン氏は11日に勾留期限を迎えるが、大鶴氏は裁判所に「保釈を求める」と述べた。ゴーン陣営が公の場で反論を始めたことで、事件は新たな展開を迎えた。

 ゴーン弁護団の大鶴弁護士らの主な主張は以下の通り。

 裁判所が特捜部の意見を聞くというのは必ずしもそうではなくて、裁判では証拠がすべてで、証拠がなければ無罪となるし、証拠があれば有罪となります。ただ、保釈の運用については、その決定については弁護人の意見を聞いて欲しいというのは、弁護士の間で広く持たれていますし、その点については私も同感です。

 なぜ、記者会見を開くことになったかというと、最初は金融商品取引法違反で逮捕起訴されました。この金融商品取引法については特捜部の考え方もあるだろうし、弁護士も比較的早く保釈されるだろうと考えていました。ケリーさんも保釈され、ゴーンさんも保釈されるだろうと思っていました。

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大鶴弁護士が異例だと指摘したこと…