巨人の精神的支柱だった長野久義 (c)朝日新聞社
巨人の精神的支柱だった長野久義 (c)朝日新聞社
広島から巨人へ移籍した丸佳浩 (c)朝日新聞社
広島から巨人へ移籍した丸佳浩 (c)朝日新聞社

 大型補強を敢行したとは思えないほど、ジャイアンツ球場は重苦しい雰囲気に包まれていた。FA移籍した西武の炭谷銀仁朗(31)の人的補償で内海哲也(36)が退団したのに続き、同じくFAで加入した広島の丸佳浩(29)の人的補償で退団したのは長野久義(34)。投打の精神的支柱だった内海、長野が他球団に移籍した衝撃は大きい。自主トレを行った選手たちは報道陣の問いかけにも硬い表情だった。

【写真】広島から巨人へ移籍した丸佳浩

 かつてのエースだった内海は今季5勝止まり。13年以来2ケタ勝利から遠ざかっている。巨人では今季もチャンスが限られることが想定される中、環境を変えることで選手寿命が延びる可能性は十分にある。長野も同様だ。新人王、首位打者を獲得したが近年は古傷の左ひざの状態が万全でなく、不本意なシーズンが続いていた。昨年は打率2割9分をマークしたが、春先の打撃不振が響き116試合出場と規定打席に到達できなかった。巨人が内海、長野がプロテクト枠から外したのも苦渋の決断だっただろう。

 以前のように必要不可欠な戦力とは言えない。だが、人望の厚い内海と長野は得難い存在で、額面の数字以上にチームへの貢献度が高かったのも事実だ。内海は投手陣が一つになるように若手、他球団から移籍してきた選手とのコミュニケーションや気配りを欠かさなかった。長野も飄々とした性格で若手からもベテランからも愛される潤滑油になり、外国人選手にも積極的に話しかけていた。両選手は共に他球団のドラフト指名を拒否して巨人に入団した経緯がある。生え抜きの中でも人気は抜群だった。衝撃の退団に落胆したファンも少なくない。

次のページ
SNSでは厳しい指摘が多い