決勝で対戦する天理大学と明治大学は、今シーズンここまで、招待試合と練習試合で計2回対戦している。昨年5月の招待試合では天理大学が24-17(前半14-5)で勝利し、8月の長野・菅平高原での練習試合でも天理大学が24-19(前半21-12)で連勝した。しかし、トライ数は5月の対戦時が天理大学が4で明治大学は3、8月は両校3トライずつと力は拮抗している。

 そんな両校が相まみえる決勝で、勝敗を分ける重要なカギとなるのはスクラムだ。天理大学は帝京大学戦で後半もスクラムで圧力をかけ続けて4つのPKを奪うなど、スクラムから試合の主導権を握っている。一方、明治大学も対抗戦で8年ぶりに帝京大学に勝利した時はスクラムで圧倒している。ラグビーの基本ではあるが、攻撃の起点を制することが試合を制するための王道なのだ。

 天理大学は平均体重で約10キロ重い帝京大学に押し勝つなど、鍛え抜かれた強さと技術が光る。明治大学は早稲田大学との対戦でスクラムを組んですぐ崩れた時には反則も取られたが、しっかり組み合った時は優位に立った。決勝では、観客の立場からはなかなかうかがい知れぬところで、さまざまな駆け引きが繰り広げられることだろう。

 もう一つのカギは、これもラグビーの基本であるディフェンス。明治大学は準決勝で苦し紛れにタックルに人数をかけたのではなく、次のプレーで人数が不利にならないよう倒れた選手がすぐ起きるところまでをチームの「決め事」として80分間徹底していた。この組織的な防御で、日本代表に選ばれたこともあるナンバー8のファウルア・マキシや帝京大学戦でトライをあげたCTBシオサイア・フィフィタ、さらに、ロックのアシペリ・モアラと突破力のある3人が並ぶ天理大学の攻撃を止められるか。天理大学は小兵ながら抜群の働きをみせる岡山仙治、佐藤慶の両フランカーらが周りを固めているだけに、防御のわずかな綻びも致命傷になりかねない。

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「西高東低」の流れは変わるのか?