ところが、均等法以後に入社した女性たちは違った。均等なのは雇用機会だけ。入ってみれば男性ファースト。その事実を前に、素直に憤っていた。目からウロコとは、このことだった。やっぱりおかしいんだ。彼女らを得て、初めて気づいた。

 池上さんが言っていたのは、このことだ。前に出る女性たちを得て「おかしい」と気づかされたことが、平成には多々あった。そのひとつがセクハラだった。

ところがそこに現れたのが、福田淳一さんだった。平成も30年、均等法から32年もたつというのに、セクハラを「おかしい」と思ってないのか、思っていてもしていたのか。とにかくそういう人が、財務省の事務方トップだった。

世の組織って、それほどダメとは思っていなかった。「入社させていただいた」感が原点にあり、私は組織への見方が甘い。それは自覚しているのだが、それにしてもセクハラ男が、天下の財務省で出世するとは夢にも思わなかった。甘過ぎた。

組織とセクハラ。その視点で振り返ると、20世紀から現在まで何も変わっていないという事実に気づき、愕然とする。

 20世紀も大詰めの1999年、平成で言うなら11年、横山ノック大阪府知事(当時)のセクハラが大変な話題となった。で、横山さんと福田さんのセクハラ、すごく似ているのだ。
まずは両方とも、被害者が声をあげたことで事件が発覚した。女性が前へ出る時代におかしなことをしていれば、いずれ発覚する。これは、当然と言えば当然のことだ。

 2人とも組織のトップであることは、属性を表しているに過ぎないとも言える。だけど、もっとダメな共通点がある。セクハラ発覚後、「前からあの人は、そういうことでとても有名だった」と報じられたことだ。

 横山さんは「こんなふうに女性を口説いていた」「こんな失礼なことをした」と芸能界、国会議員、知事になってからと歴史をさかのぼって報じられていた。福田さんのセクハラを最初に報じた「週刊新潮」の記事には、「セクハラしまくってる件ですか? 被害者の会ができるんじゃないですか」という省内の声が紹介されていた。

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2人に共通している点と、していない点