この一連の流れを見ると、19年度予算編成時期に合わせて、「アストリッド」凍結で予算削減の圧力にさらされる経産省が、それをかわすための雰囲気作りをしながら、アストリッドの穴を埋める予算のネタを揃えて、その情報をリークしてマスコミに書かせていたことがよくわかる。
本来は、福島第一原発の事故を踏まえて、日本の原子力政策を根本的に見直すべきなのに、それを怠ったまま、過去の遺物となった核燃料サイクル政策を維持する姿勢には、開いた口が塞がらない。
国際エネルギー機関(IEA)によると、原発の「新設」投資は17年に約1兆円で、16年比で7割減。再生可能エネルギーに比べてコスト高で、競争できなくなっているためだ。先進国は、そのことにとっくに気づいている。今、原発を熱心に建設しているのは、中国とロシアが中心で、あとは若干の新興国だけだ。日本が輸出を狙っていた原発プロジェクトが次々と頓挫したのを見ても、原発が再生可能エネルギーに取って代わられるという潮流はますますはっきりしてきた。
ところが、経産省の利権維持のために、さらに巨額の予算を注ぎこもうとする日本。もちろん、その裏には、核武装のための技術を保持するために、何としても原発を維持したい安倍政権の強力な後押しがある。
このままでは、日本は、ますます世界の流れに後れをとるばかりだ。
政府が決めれば、脱原発はすぐにでもできる。
逆に言えば、脱原発を実現する政府を選ぶしかないということだ。主権者である国民が目覚めるのはいつなのだろうか。
「19年こそは」と期待したい。