……突然、奇想天外なフレーズの数々でみなさんを驚かせたかもしれませんが、これは子宮系女子の祖、あるいは子宮系女子たちのカリスマともいえる女性が、2017年に発売した日めくりカレンダーに載せたメッセージです。

 子宮系女子とは、「女性の健康と幸せは子宮をいたわることから」という思想を持ち、さまざまな健康法や開運法、自己啓発法などを子宮と関連づけて語る女性のこと。

「近頃の女性は子宮に無頓着」「現代女性の子宮は冷えている」を前提として子宮に気を配る生活の大切さを説き、主に子宮を温めるケアを重要視しています。しかし、昨今の女性の子宮が昔と比べて冷えているという医学的データは存在しません。

 さらに「子宮は感情の臓器」と謳い、精神面と子宮を関連づける傾向があります。東洋医学では感情と臓器は深く関わると考えられていますが、ここではその話ではなく、「女がヒステリックなのは体内で子宮が動き回るから」とされた2000年以上前の古代ギリシヤの話を引用&独自解釈しているケースが多く見られます。

 それらの話を合体して生まれたのが、子宮をフォーカスして生きると心も体も(ついでに運勢も)絶好調になるという“子宮万能説”的な主張。ヘルスケアだけでなく、女性の自己肯定感を高める重要なキーワードとして、自己啓発や癒やしビジネスシーンで多用されています。

 前出のカリスマ女性の活動で特筆すべきは、オリジナル子宮説法「子宮メソッド」の奇怪さでしょう。子宮メソッドでは「子宮が脳を司る」という設定になっており、子宮を温めると思考が柔軟になり「トラウマさえもデトックスできちゃう」そうです。逆に冷えていると、子宮に自己嫌悪や妬みがたまるのだとか。ご自身も精神疾患や子宮頸がん、子宮筋腫を経験し「そのときの子宮の冷えはハンパじゃなかった」と実感したことが語られています。

 それは“心が凍った”という比喩表現の応用かと思っていたら、本当に冷えていると感じたらしく、岩盤浴などで物理的に温めるお手当を実行。すると、なんということでしょう。子宮にたまった感情が解放され、奇跡が起こります。

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子宮や骨盤まわりの血行は金脈や人脈につながっている!?