恵まれない境遇で育った毒母への同情と恨み… 21歳女子大生に鴻上尚史が贈った珠玉の言葉 (2/4) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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恵まれない境遇で育った毒母への同情と恨み… 21歳女子大生に鴻上尚史が贈った珠玉の言葉

連載「鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい『世間』を楽に生きる処方箋」

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【鴻上さんの答え】
 ナツメグさん。大変でしたね。苦労していますね。よく、相談してくれました。

 僕の今までの回答をナツメグさんが読んでいるのなら、僕がなんて言うか、ナツメグさんには想像がついてるんじゃないですか?

 僕の答えは、ひとつです。

 お金をためて、一刻も早くナツメグさんが家を出ること。これ以上、お母さんと同居するのは、お互いにとって不幸でしかないと思います。

 ナツメグさんは優しい人ですね。「自分の意志で行動できない母がとてもかわいそうで、どうにかしてあげたいという気持ち」がちゃんとあります。

 でも、同時に、「私の人生にネガティブな影響を与えてきた母を恨む気持ち」もあると、正直に書いています。

 そして、「こんな人に人生壊されるわけにいかない」というしっかりとした気持ちもあるのです。

 ナツメグさん。あなたはとても聡明に育ちました。

 お母さんが自分を持て余し、大人になったのに大人になれず、自分の感情に振り回される結果、あなたは先に大人になるしかなかったのです。

 お母さんは、たぶん、自分自身のことが大嫌いだと思います。思春期の一時期、自分のことが嫌いになることは、珍しいことではありません。でも、それがずっと長く続くのは、とても不幸なことです。

 ナツメグさんが分析しているように、お母さんの育てられ方が今のお母さんを作ったのでしょう。

 そうやって、ナツメグさんは相手の事情を考え、自分の何が悪いのかと反省し、自分に何ができるのかと考えることを学びました。

 それはまぎれもなく、お母さんのおかげです。そのことには、深く感謝しましょう。

 これは、皮肉で言っているのでもなく、「親子の情は深い」なんて意味で言っているのでもありません。

 でも、同時に、「子供は母親のそんな事情を考えたり心配する義務はない」のです。好きで賢くなったのではない、自分が自分であるために、落ち込み続けないために、賢くならざるを得なかったのです。


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