78年には、日中平和友好条約が結ばれ、両国の関係はさらに深まった。79年には日本から中国へ技術や資金を援助する政府開発援助(ODA)が始まった。

■お互い欠かせない存在に

 国交正常化後、貿易や人々の往来は活発になり、貿易総額は過去45年間で約11億ドルから約3千億ドルに増大した。日本にとって中国は最大の貿易相手国。中国にとっても日本はアメリカに次ぐ貿易相手国だ。日本を訪れる外国人の数も中国人がもっとも多く、年間736万(2017年)、1日約2万人が来日している計算になる。日本にいる外国人約256万人(17年)の約30%は中国人。経済面ではお互い欠かせない存在になっている。

 一方、政治面では、日本軍による南京事件(南京大虐殺)の犠牲者数など、歴史認識の違いや、尖閣諸島の領有権をめぐる問題などを両国は抱えている。

 近年の中国は大きく変化した。中国は「世界の工場」「世界の市場」といわれ、国の経済の規模を表す国内総生産(GDP)は、2010年、日本を抜いて世界2位になった。日本と中国は、支援する・される関係から、競合関係に変わった。ODAも18年度で終了する。

 今回の安倍首相の中国訪問が、経済面をいっそう発展させ、政治面での冷えた日中関係を改善するきっかけになってほしい。(解説/文教大学生涯学習センター講師・早川明夫)

<日中関係史>
1931年/柳条湖事件をきっかけに、満州事変が始まる。日本軍、奉天(現在の瀋陽)を攻撃
1932年/日本、満州国を建国
1945年/終戦
1949年/中華人民共和国が成立
1951年/日本、サンフランシスコ平和条約に調印
1952年/日本、台湾と日華平和条約を結ぶ
1971年/中国が国連に加盟
1972年2月/アメリカのニクソン大統領が中国を訪問
9月/日本の田中角栄首相が中国を訪問。日中共同声明に調印。国交正常化
11月/中国から贈られたパンダが東京・上野動物園で一般公開
1978年/日中平和友好条約に調印
1979年/日本、中国への政府開発援助(ODA)を開始
1981年/中国残留孤児が肉親捜しのため来日
2010年/中国のGDPが日本を抜き世界2位になる
2018年/日本の首相が約7年ぶりに中国を単独訪問

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