■日本の麻を守るために

 これまで述べてきたように、現在日本の麻(大麻)栽培は、窮地に立たされています。

 その原因の一つは、無害が確かめられている日本の麻にまで監視カメラの設置や見回りの義務を課したり、出荷先の制限をしたりするなど過重な負担を行政が生産者に強いていること。これは、「大麻取締法」で定めている「保健衛生上の危害の発生を防止するため必要な最小限度のもの」の範囲を超えた不当なものである可能性もあります。これらの制限は、保健衛生上の危害を防ぐことに本当に繋がっているのか、その検証と見直しを行政側に求めたいと思います。更には、THCの含有率に基づいて「薬物としての大麻」と「農作物としての大麻」の違いを明確にし、分別ある対応がなされるような制度を確立することも必要です。

 また、私たちのような伝統的な栽培者や麻文化継承者には、きちんと大麻という植物の危険性と益を理解・整理して社会に発信していく責任があると私は考えています。

 今後は、乱用に用いてこなかったことこそ日本の麻文化の誇りとして後世に伝え、健全な麻の栽培活用を求めていきたいと思います。皆様のご理解とご協力を是非お願いします。

(文/若園和朗・日本麻協議会事務局代表)
※「医療ガバナンス学会」発行の記事を転載