「特に若い選手はスカウトがいっぱい見に来るんだから、頑張らなきゃいけない。もっと図々しくなっていい」と内田が語ったように、若い世代の台頭が苦境を乗り越える絶対条件になってくる。

 その筆頭が19歳の安部裕葵。U-19日本代表でエースナンバー10をつける男は本田圭佑(メルボルン)がプロデュースするソルティーログループのS.T.FC出身だ。本田譲りに強心臓と高度なテクニック、イマジネーションを武器にしている。2020年東京五輪の有力候補で、近未来の日本代表を担う逸材と注目を集めている。

 「僕は大舞台の方が自分を出しやすい。FCWCのような大会は好きですね」という堂々たる口ぶりも頼もしい。彼には鈴木優磨不在の攻撃陣をセルジーニョ、遠藤康らとともにけん引してもらう必要がある。

 2016年日本大会でもロシア16強戦士のボランチ・柴崎岳(ヘタフェ)がレアル相手に2ゴールを叩き出し、世界を震撼させたが、安部が同じようなインパクトを残してくれれば、間違いなくチームは盛り上がるだろうし、彼自身の評価も急上昇する。欧州移籍の道も開けてくる可能性が高い。そういう人材が他にも出てくれば、チームは勢いづく。大卒新人の山口一真や2016年リオデジャネイロ五輪世代の金森健志ら伏兵の活躍にも期待がかかるところだ。実際、年内国内最終戦となった5日の天皇杯準決勝・浦和戦を見ても、昌子らDF陣は手堅い堅守を見せたが、得点力不足が顕著だった。その課題をクリアすることが優勝への絶対条件。大岩剛監督筆頭に、いかにしてゴールを奪うかを考えることが肝要だ。

 いずれにしても、この大会の鹿島が総力戦を強いられるのは確かだ。内田や昌子ら看板選手たちが軸となり、常勝軍団の意地とプライドをUAEの地で示してほしい。(文・元川悦子)