半年前の2018年ロシアワールドカップでも、日本代表は初戦・コロンビア戦(サランスク)に2-1で勝利して、ベスト16という結果を手にした。その場に立っていた昌子には、1戦目の重要性が誰よりもよく分かっているはずだ。

「1年間に2度ワールドカップに出られるとは思ってなかったですけど、泣いても笑っても今年最後の大会になるし、マックス3試合やりたい。2戦目で負けても3位決定戦はあるけど、そこには回りたくない。決勝の舞台に行けるようにしたい。今の鹿島には(小笠原)満男さんやソガ(曽ヶ端準)さん、篤人君や自分がいるし、GKのクォン・スンテも国際経験がある。そういう人たちがどっしり構えることが重要だと思います」

 昌子は自身の役割を認識しながら、今年2度目の世界舞台に挑むという。

 2度のワールドカップにUEFAチャンピオンズリーグ(欧州CL)、ドイツ・ブンデスリーガなど数々の大舞台に参戦し、修羅場をくぐってきた内田が今季から鹿島に戻り、ケガを克服して、今大会までに戦える状態になったことも非常に大きなアドバンテージだ。

「FCWCって欧州のチームからしたら、正直言って『別に』という大会だと思う。シーズン中に中東に行って試合しなきゃいけないレアルの気持ちはいろいろあるかもしれない」

 彼は、足掛け9シーズンを欧州で過ごした選手らしい見解を示しているが、確かに今のレアルにとっては負担が重いはず。今季リーガ・エスパニョーラでバルセロナらライバルに水を空けられ、今夏就任したばかりのフレン・ロペテギ監督を10月末に更迭した。サンティアゴ・ソラーリ暫定監督が就任して間もないレアルにとってはFCWCどころではないというのが実情だろう。

 だからこそ、グアダラハラという最初の関門を突破すれば、鹿島には宿敵リベンジへの大きなチャンスが開けてくる。彼らも若きエース、FW鈴木優磨と日本代表ボランチ・三竿健斗が負傷離脱するという大きなアクシデントに見舞われているが、常勝軍団らしいタフさと粘り強さ、総合力を出し切れば、土台が揺らいでいる欧州王者を凌駕できる可能性はゼロではない。

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