6月の月間MVPを受賞したロッテのボルシンガー(左)。右は角中 (c)朝日新聞社
6月の月間MVPを受賞したロッテのボルシンガー(左)。右は角中 (c)朝日新聞社

 セ・リーグは広島が三連覇、パ・リーグは西武が10年ぶりのリーグ優勝を果たしたものの、最終的にはソフトバンクの日本シリーズ連覇で幕を閉じた2018年のプロ野球。オフには早くも新外国人加入の情報などが飛び込んできているが、今回は改めて今シーズンの各球団の外国人選手の働きぶりについて球団別に検証してみたいと思う。まずはパ・リーグについてその活躍度を振り返りながら来シーズンの外国人についても展望した。

【西武】

2018年外国人選手活躍度:C

来季の外国人選手展望:C

・外国人投手合計成績

101試合18勝10敗17セーブ28ホールド

・外国人野手合計成績

82試合45安打9本塁打21打点0盗塁

・外国人選手MVP:ヒース

42試合4勝1敗13セーブ9ホールド 防御率2.50

 規定打席、規定投球回に達した外国人選手は0で、シーズン前に期待していた新外国人も大型契約二年目のメヒアも全く機能しなかった。そんな中で救いになったのがシーズン途中から加入したヒース、マーティンの中継ぎ右腕二人。圧倒的な成績を残したわけではないが、中盤戦以降のブルペンを支える貴重な存在となった。ただ、ヒースのこの成績が外国人選手MVPというのも寂しい話である。それでも優勝したというのは立派ではあるが、過去数年を見ていると、外国人選手のスカウティングに課題があることは間違いないだろう。ヒース、マーティン、カスティーヨ、郭の4投手が残留となり、新外国人のニールも投手だが、とりあえず数を揃えているという印象は否めない。また野手も三年契約のメヒアは残るが、ここ二年の成績の下降ぶりを見ると大きな期待はかけづらい。外国人選手に関しては来季も展望を明るいとはいえないだろう。

【ソフトバンク】

2018年外国人選手活躍度:B

来季の外国人選手展望:B

・外国人投手合計成績

97試合23勝10敗5セーブ23ホールド

・外国人野手合計成績

170試合151安打38本塁打104打点1盗塁

・外国人選手MVP:バンデンハーク

23試合10勝7敗0セーブ0ホールド 防御率4.30

 クローザーのサファテが早々に故障で長期離脱となり、昨年セットアッパーで大活躍したモイネロも2年目のジンクスに苦しんだ。それでもバンデンハーク、デスパイネがそれなりの働きを見せ、新加入のミランダ、グラシアルが戦力になり、全体的には何とかうまくまとめてきたという印象だ。今年プレーした選手は全員残留が有力視されているが、気がかりなのは高齢化。サファテ、デスパイネ、バンデンハークの三人はまだまだ力はあるものの、全盛期に比べると衰えは否めない。シーズンを通してフル回転の活躍ができるとは計算しない方が妥当だろう。「第二のモイネロ」を狙ってキューバからコラスを育成選手として獲得するなど、将来の備えにも目は向いているが、投手、野手とも万全と言えるほどの布陣ではないというのが実情である。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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