阪神から移籍して大成功だった西武・榎田大樹 (c)朝日新聞社
阪神から移籍して大成功だった西武・榎田大樹 (c)朝日新聞社

 今オフも賑わいを見せているプロ野球ストーブリーグ。大物選手の動向に注目が集まっているが、では1年前はどうだったのだろうか。昨オフから今季シーズン中に新天地へ移籍した選手たちの実際の働きぶりを振り返りながら、その成否を判断したい。

【写真】FA組に厳しい目が向けられた中、話題を集めたのはこの選手!

 大谷翔平日本ハム→エンゼルス)のメジャー移籍に沸いた昨オフ。大谷以外にも、平野佳寿(オリックス→ダイヤモンドバックス)、牧田和久(西武→パドレス)が海を渡った一方、国内では増井浩俊(日本ハム→オリックス)、野上亮磨(西武→巨人)、大野奨太(日本ハム→中日)、鶴岡慎也(ソフトバンク→日本ハム)、大和(阪神→DeNA)の計5人がFA権を行使して新天地へと移籍した。

 国内組で最も活躍したのは増井だ。オリックスと3年契約を結んだ中、メジャーに移籍した平野に代わる新守護神として抜群の安定感を示し、自身初のセーブ王のタイトルこそ逃したが、シーズン63試合に登板してリーグ2位の35セーブで防御率2.49。チームが下位に低迷したことが悔やまれるが、新天地で自らの実力を再証明してみせた。

 また、5年ぶりの古巣復帰となった鶴岡もしっかりと働き、前年の29試合から101試合に出場数を増やしてチームをけん引。勝負強い打撃でも存在感を示した。一方、守備のスペシャリストとして上り調子だったDeNAに加入した大和については評価が分かれるところ。計113試合に出場して華麗なグラブさばきを随所で見せたが、打率.244に自己ワーストの11失策と反省点もあった。

 明らかに期待を下回ったのは、野上と大野の2人。2017年に11勝を挙げて巨人と3年契約を結んだ野上は、開幕当初こそ期待通りに先発ローテの一角としてマウンドにあがったが、5月以降は不安定なピッチングが目立ってシーズン後半は中継ぎへ配置転換。25試合登板で4勝4敗1ホールド、防御率4.79の成績には不満が残った。また、新司令塔として期待の高かった大野は、右肘手術の影響もあって打率.197、2本塁打、10打点と低迷。リード面でも信頼を勝ち取れずに自身最低の63試合出場に終わった。

 FA組に厳しい目が向けられた中、話題を集めたのが松坂大輔(ソフトバンク→中日)だった。日本球界復帰後3年間でわずか1試合登板のみと苦しんでいた“元怪物”が、新天地に移籍した今季は、4月30日のDeNA戦で日本球界4241日ぶりの白星を挙げるなど、計6勝(4敗、防御率3.74)をマーク。その成績以上に多くのファンに勇気を与え、カムバック賞も受賞。間違いなく、“大成功”の移籍だった。

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移籍して最も成功したのは…