ロイヤルティ・プログラムはあってもいいけれども、それによって経営がどうこうなるというほど動くものではないというのが、今の所の自分の結論です。シャープ教授はそれを『ブランディングの科学』の中で見事に証明してくれました。

 シャープ教授が証明したのは、要するに「新規顧客獲得のためにちゃんとお金を使いましょう」ということ。自分の経験に照らし合わせても、すごく正しいと思います。

 ただし、『ブランディングの科学』に書かれているのは、すでに拮抗したマーケットの中で戦うやり方です。新規に参入するなら、いわゆるコトラー流のマーケティングのほうが効くかもしれません。

 たとえば、アプリ市場。この人たちにはこれがウケそうだと狙いを定めて、そこにウケるアプリをつくって、それにいち早くアプリを使った方々(アーリー・アダプター)のレビューがついて、高い評価がつくと、さらに広がっていくというモデルですね。なので、コトラー的なターゲティング、差別化といったエッジを尖らせる手法が効くというわけです。

 そのへんを自分の携わっているモノ・サービスに応じて足し引きしながら、自分なりに読み解くことができれば、かなり現場レベルで役立つ一冊になるのではないでしょうか。