東京医科大の発表から作成。数字は人数
東京医科大の発表から作成。数字は人数
東京医科大が送付した入学意向確認書。入学を「希望する」にしても追加入学人数に上限があるため、再び入学できない可能性もある
東京医科大が送付した入学意向確認書。入学を「希望する」にしても追加入学人数に上限があるため、再び入学できない可能性もある

 まさに「今さら」な通知が届いた。

【実際に東京医科大から送られてきた「入学意向確認」の文書はこちら】

「2年ほど前に受験した結果が今さら来ても……と思って、ちょっと笑っちゃいました。入学意向確認書が届いて、『不正がなければ合格していたのかもしれない』とうれしい気持ちもあったけど、正直、受験料を返してほしい気分ですね。日医に進学できて満足しているので、東医には行きません」

 力強い口調でこう話すのは、2017年に東京医科大学の一般入試を受験して不合格で、日本医科大学に進学した男子学生だ。帰国子女で、高校生のときに海外から帰国したものの、難関の医学部入試の受験勉強が間に合わず、2017年の受験時には3浪。浪人年数が多い、いわゆる「多浪生」だった。

 3年間の浪人で着実に学力をつけ、受験した私大医学部13校のうち10校で1次試験合格。2次試験を受験した7校のうち、日本医科大学、国際医療福祉大学、杏林大学、日本大学に合格した。これだけの大学に合格したのに、1次試験の手応えがよかった東京医科大学は、2次試験で不合格だった。

「多浪は厳しい、というのは知っていました。ただ、他の大学の合格状況からみて、受かっていてもおかしくないのに……と、当時思いましたね」

■「記憶」に残る面接官

 まもなく2年が経とうとしている。なのに、東医大の2次試験のことは今でもはっきりと覚えている。とりわけ脳裏に焼き付いているのは、面接官が居眠りをしていたことだ。

「面接官は2人でしたが、そのうちの1人がずっと寝ていたんです。約10分間、もう一人の面接官とだけ話しました。一方、国際医療福祉大学の2次は、英語での面接を希望しましたが、最初の30分間は3人の面接官、次の30分間は5人の面接官が丁寧に面接してくれました。両大学の面接のギャップが記憶に残っています」
                    
 11月7日、東京医科大学は、女子と多浪生を不利に扱った2017年と2018年の入試で、繰り上げ合格となった最低順位よりも上位だったにもかかわらず不合格になった受験生が101人(男性34人、女性67人)いることを発表した。ただ、希望すれば全員が入学できるわけではない。通常、合格者を決定するときには、募集人員に達するまで成績順に繰り上げ合格を実施しているからだ。

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東医大に合格する力があれば…