代表戦で初めて先発出場を果たした北川航也(写真:getty Images)
代表戦で初めて先発出場を果たした北川航也(写真:getty Images)

 スタメンでトップ下気味のポジションに入った北川航也は「途中から入ってきた選手との差もやっている中で感じた」と素直に現状を語った。北川そのものは決して悪いパフォーマンスではなかった。山中亮輔の先制ゴールにつながる起点のドリブル、右サイドからのクロスで杉本健勇の落としを演出し、伊東の惜しいシュートに繋がったシーン。そして交代直前の後半27分に大迫勇也のゴールをアシストした場面など、自分のゴールこそならなかったものの、北川なりのアピールはできたように見える。

 しかし、後半14分に投入された大迫と堂安律、北川と交代で入った中島翔哉、南野拓実という4人が揃うと一気に攻撃のギアが上がった。立て続けにチャンスが生まれ、前半拮抗していたキルギスとの形勢が完全に日本に傾いたのだ。10月のウルグアイ戦、先日のベネズエラ戦と4人がスタメンの時よりも今回の途中出場のほうが、彼らとそれに次ぐ選手たちとの力差を感じさせるインパクトは大きかった。

 試合後の記者会見でそのことを聞かれた森保一監督も特に否定することなく「力の差がある部分はあると思いますが、(これからの)トレーニングで、できるだけいろんな絵や選択肢を持たせ(成長を)働きかけていくことが自分自身の課題であり、責任だと思っている」と語った。そして「国内だけでなく、海外でプレーしている力のある選手もいますし。ベネスエラ戦での前線の選手に追いつける選手は(他にも)いると思います」と語った。

 北川をはじめ右サイドの伊東純也も縦のスピードという面ではキルギスの左サイドバックを完璧に凌駕。前半では最も目立っていたと言っても良く、あとはゴールを決めていればアジアカップのメンバー入りに大きく前進していたかもしれない。左の原口元気もベネズエラ戦よりインサイドにポジションを取りながら、自身のFKゴールにつながったファウルを誘う仕掛けなど、ダイナミックなプレーを披露した。

 杉本健勇はポストプレーの安定性を欠く部分はあったが、一度ボールのコントロールがズレたところから粘り腰でパスを出し、山中のゴールをアシスト。また北川からのクロスをヘッドでリターンしたプレーも杉本ならでは。山中の絶好のクロスに合わせたヘディングシュートがGKの正面に飛んでしまうなど決め手を欠いたが、それなりに持ち味は出したと言える。

 しかしながら、攻撃陣に主力4人が揃った状態は、それまでとある意味で次元が違っていた。中島、南野が入ってファーストプレーでゴールが生まれたシーンは、大迫が右手前に引いたところから左斜め前にミドルパスを出し、南野、堂安、中島と素早くボールが渡り、最後は中島が右足のダイレクトシュートでゴールネットを揺らした。

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