「凄い会社があるらしい」と打ち出されたパンフレットには、アルミックの工場内での改善事例が掲載されています。このパンフレットは、日本全国からはもちろん、中国やドイツなどからも、アルミックの取り組みに学ぼうとわざわざ訪れる工場見学者のために作成しました。

■「N倍チャレンジ」を可能にした3つの取り組み

 アルミックの工場の仕事の取り組み方には、3つの特徴があります。

 1つめは、生産性や効率の改善などの目標設定を、増やす場合は今までの倍、減らす場合は今までの半分をターゲットとすること。

 2つめは、設定した目標に近づけるために解決すべき課題の見つけ方です。「そうしないとダメだ」と思い込んでいる業務のやり方を「本当にそうなのか」という目で見直し、課題をあぶり出します。N倍チャレンジは同じやり方では実現できないから、前提を疑ってみることで改善点を見つけようとするのです。

 3つめは、仕事は「作業」だけではなく、「作業+改善+変化」で成り立っていると、みんなで自覚すること。これらを基本に、今の仕事にすでにあるものを改善したり、ないものを加えたりしながら進めていきます。

 いずれの視点も「自分たちが変化していこう」という視点で、仕事に取り組んでいく上で、外せないものばかりです。人は、高い目標を達成したいと決めると、それまでの思い込みを捨て、現実と向き合い、「本当にそうなのか」と自問自答しなくてはならなくなります。その結果、「知恵」を絞って、「モノ(コト)」を変化させていかなくてはならないことに気づくのです。

 悟社長は従業員のやる気の火種を見つけては、消えないように、さらに燃えるように支援しています。営業利益5倍の原動力となった取り組み「N倍チャレンジ」は、ボトムアップ的な運動なのです。