自ら歌詞を書いたもう1つの曲、「夢の途中」では今の心境を描いた。

「昨年にデビュー35周年を迎え、50代になり、肩の力が抜けたというか、心がとても楽になりました。歳を重ねるって素敵だなあ、と思えた。過去をいとおしく感じられ、今を大切にしたいと思え、未来の可能性にわくわくできる。そんな自分を楽しんでいます」

 『半分、青い。』に出演したことでも、時の大切さをより強く意識するようになった。

「私は萩尾和子(わこ)さんという女性の20歳から61歳までを演じました。彼女が他界する61歳まで、私にはもう10年しかありません。もちろん和子さんよりも長く生きるつもりですけれど、あの役をやって、今このときを大切にしなくてはいけないと強く感じました。制作するアルバム、出演する映画やドラマの1作1作にもっともっと気持ちを込めていきたい」

 1日1日、今このときを大切にしたい。

「CDもドラマも、それが何作目だったとしても、その作品との出合いは初めてです。プライベートでも同じ。たとえば恋愛も、その相手との恋は初めてですよね。だからいくつになっても、何度目の恋でも、初恋。そんな気持ちを大切に、人生を充実させていきたいです」(神舘和典)

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神舘和典

神舘和典

1962年東京生まれ。音楽ライター。ジャズ、ロック、Jポップからクラシックまでクラシックまで膨大な数のアーティストをインタビューしてきた。『新書で入門ジャズの鉄板50枚+α』『音楽ライターが、書けなかった話』(以上新潮新書)『25人の偉大なるジャズメンが語る名盤・名言・名演奏』(幻冬舎新書)など著書多数。「文春トークライヴ」(文藝春秋)をはじめ音楽イベントのMCも行う。

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