セットプレーの左足キッカーとしても重宝される可能性がある山中亮輔(写真:getty Images)
セットプレーの左足キッカーとしても重宝される可能性がある山中亮輔(写真:getty Images)

 11月16日に行われたベネズエラ戦で1-1と引き分け、初めて勝利を逃した森保ジャパン。だが、個人能力も組織力も高いベネズエラとの対戦は、アジアカップを想定したシミュレーションとして有効だったと言える。

 新たな代表の顔となりつつある中島翔哉、南野拓実、堂安律の3人はこれまで以上にポジションチェンジや3人が同時的に絡んでの崩しなども取り入れており、トップの大迫勇也との関係も含め、彼らの中での変化という意味では1つステップアップが見られた。

 そこに柴崎岳や遠藤航のサポートや、時に追い越す動きが加わることで、ベネズエラ相手にも何度か流れの中でビッグチャンスを作り出すことはできていた。ただし、この3人がフィーリング主体で流動的に絡もうとすればするほど、攻撃の幅が狭く偏りやすい傾向も強まっている。

 ただ、右の堂安は“逆足”の左利きと言っても縦に仕掛ける意識が高く、中に流れれば酒井宏樹が外側を活用できるため、サイドの高い位置にも起点を作ることができた。しかし、左側は右利きの中島の仕掛けがインサイドに偏ることに加え、右利きの左サイドバックである佐々木翔が中島の後ろからフォローアップはできるものの、外側から追い越すプレーが少ないために左サイドで攻撃の幅を取ることができないのだ。

 ベネズエラ戦では、途中で左サイドに入った原口元気が意識的にライン側から縦を狙うことで、それまでになかった左サイド攻撃の幅と推進力が生まれた。彼も右利きの選手ではあるが、左サイドで縦に持ち上がるプレーも引き出しにあり、特にこの試合では必要性を感じて繰り出していたとみられる。

 10月のウルグアイ戦では、左サイドバックを務めた長友佑都が中島の空けるサイドのスペースを活用。頻繁に追い越すことで相手のディフェンスをワイドに開き、中島がインサイドで突破力を発揮しやすい状況を作り出した。中島も縦を切られればボールをキープして、外の長友に展開できていた。そういう選択肢が多くの局面で用意されていることは“逆足”サイドアタッカーにとって非常に大きいものだ。

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なるべく多くのオプションを用意したい日本代表