内村光良 (c)朝日新聞社
内村光良 (c)朝日新聞社

 11月9日、『第69回NHK紅白歌合戦』の総合司会を内村光良が2年連続で務めることが発表された。昨年の『紅白』での実績が高く評価されたのだろう。

【写真】「第69回NHK紅白歌合戦」の出場歌手たちが会見の場に登場!

 昨年の『紅白』は実質的に内村のワンマンショーとも言えるものだった。オープニングではミュージカル風の演出に合わせて華麗に踊り、その後も終始落ち着いた様子で番組を進めていった。昨年9月に引退宣言をしていた安室奈美恵が登場した場面では、カメラ目線で安室の大ファンであるイモトアヤコにメッセージを送った。『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)で共演しているANZEN漫才のみやぞんとのやりとりでも、仲間として優しい言葉をかけていた。

 また、以前から欅坂46のファンであることを公言していた内村は、欅坂46のメンバーとのコラボ企画に挑戦。彼女たちと並んで同じ衣装に身を包み、『不協和音』の曲に乗せて見事なダンスを披露。パフォーマンスの途中で体調が悪そうだった平手友梨奈に「大丈夫?」と声をかけた一幕もあり、堂々とした立ち振舞には余裕すら感じられた。途中で早着替えをしてコント番組『LIFE!』のキャラクターを演じる場面もあった。内村は、単なる進行役という役割をはるかに超えたマルチな活躍ぶりで、お祭り番組に華を添えた。

 内村が『紅白』の司会者として成功した理由の1つは、彼が「しゃべり」よりも「動き」を得意とするタイプの芸人だからだ。コントをやり続けることで鍛えられた身体能力があるため、オープニングで踊ったり、欅坂46とコラボしたりすることができた。さまざまなタイプのアーティストが集まって大掛かりなセットで派手なパフォーマンスを披露する『紅白』の舞台には、内村のような芸人がふさわしかった。

 ここ数日、『イッテQ!』の「祭り捏造疑惑」が世間を騒がせている。発端になったのは、『週刊文春』の記事で「番組で紹介されたラオスの祭りが実在しないものである」と報じられたことだ。続報として別の祭りも実在しないものであることが明らかにされると、日本テレビは事実を認める文書を発表。11月15日には日本テレビの大久保好男社長が「企画について疑念、ご心配をおかけする事態となった。お詫び申し上げます」と謝罪した。

著者プロフィールを見る
ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

ラリー遠田の記事一覧はこちら
次のページ
報道が出た当初、世間では…